『ラストマン』“親ガチャ”に福山雅治が投げかけた疑問 三者三様の親子のあり方
緊迫感、タイムリミットと命の危機。スリルに満ちた時間が刻一刻と過ぎる。『ラストマン―全盲の捜査官―』(TBS系)第6話では、立てこもり犯の真意が問題になった。
「私は本気だ。要望が叶わないなら娘も撃つ」。青梅の別荘で起きた立てこもり事件の犯人は、別荘の所有者で警備会社社長の菊知(髙嶋政宏)。秘書の工藤(白石朋也)に身代金10億円を用意させる間、皆実(福山雅治)が身代わりとして人質になった。その頃、心太朗(大泉洋)と佐久良(吉田羊)は、別動隊で社員に変装して工藤に接近。菊知が談合疑惑で逮捕される前に国外へ逃亡し、妻と娘を殺すつもりであるという情報を得た。
別行動のバディは、互いの姿が見えない場所から真実を手繰り寄せる。拘束されて身動きの取れない皆実は異変を感じ、菊知が何者かに脅されていると察知。皆実の機転でそのことを知った心太朗たちは、先回りして容疑者の身柄を確保した。
凶悪事件は近しい人間関係に原因があることが多い。自宅立てこもり事件も家族の確執に端を発していた。周りから見ればささいなことでも、本人にとって一大事ということは多々ある。愛されなかった子どもは、後々までそのことを覚えているものだ。生まれた環境がその後の人生を決定づける“親ガチャ”という言葉を宇佐美(前原滉)も口にする。皆実はその言葉が本質から外れていることを示した。
「もちろんスタート時点で差はあります。ですが人生はガチャの連続です。統計学上で見れば、人生トータルのガチャの当たり確率はほぼ平等。どれだけ幸福度を高められるかは、その人自身の考え方にもっとも影響され、努力に比例して向上することがわかっています」
宇佐美には二重に思い込みがあった。親ガチャで人生が決まる先入観に加えて、自分だけ恵まれていないという誤解だ。菊知の娘の恵茉(米村莉子)は養子であり、苦労知らずの甘えた人生というイメージは偏見でしかなかった。