『らんまん』浜辺美波が夢中になる『里見八犬伝』とは? 今なお愛される王道ストーリー

『らんまん』寿恵子がハマる『八犬伝』とは?

 万太郎(神木隆之介)が東京で奮闘を続けている『らんまん』(NHK総合)で、「草むらになりたい」なんて言葉が寿恵子(浜辺美波)から発せられるなんて思ってもみなかった。これを最近のオタク言葉にするなら、「推したちが尊い」といったところだろうか。ここまで寿恵子の心を掴んで離さない物語が、曲亭馬琴(滝沢馬琴)が書き記した『南総里見八犬伝』である。

 この読本は、曲亭馬琴(滝沢馬琴)作の98巻106冊にもおよぶ長編大作で、日本における、不可思議なものや珍しいものを題材とした伝奇小説の古典の一つと言われている。舞台は室町時代後期。現在の千葉県にあたる安房国にあった里見家が滅亡したとき、富山の庵室に逃れていた伏姫は八房という神犬と契りを結び、妊娠。しかし出産前に鉄砲に撃たれなくなってしまう。すると体内から8つの玉が飛び散り、八犬士が誕生した。ばらばらの環境に生まれ育った8人は、共通して「犬」の字を含む名字を持ち、それぞれ、仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の文字が浮き上がる玉をひとつ持っていた。そして身体のどこかに同じ牡丹の痣があった。彼らは玉が引き合うように次々と出会い、里見家再興のために活躍していく。

 寿恵子が思わず「草むらになりたい」といった場面は、「孝」の珠を持ち、左腕に牡丹の痣がある犬塚信乃と「信」の珠を持ち、右の頬先に牡丹の痣がある犬飼現八が共闘するところである。

 さらに勧善懲悪が全体に一貫するテーマであり、作中には捕らわれた仲間を救う場面や戦ったライバルが仲間になる場面もある。このことから『南総里見八犬伝』は、現代でいうところの戦隊モノや、映画『アベンジャーズ』をはじめとしたMCUシリーズと似ているといえるかもしれない。

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