『らんまん』浜辺美波のオタクっぷりが止まらない 寿恵子の仕草に虜になる
植物学教室の初代教授・田邊(要潤)から東京大学に通うことを許された万太郎(神木隆之介)。『らんまん』(NHK総合)第34話は、「青長屋」と呼ばれる校舎から「クサ長屋」こと十徳長屋に帰り、翌朝、万太郎が再び東大に向かうまでの狭間を描いた回である。
この第34話は万太郎を軸に置きながら、その周りにいる登場人物にスポットを当てた回に思えた。その一人が十徳長屋の住人である堀井丈之助(山脇辰哉)だ。彼は文士を目指す東大の三年生で同時に落第生。植物学教室の助教授・徳永(田中哲司)らと同じく「東京大学」というブランド、そこに至るまでの過程に自分のプライドを持っていればいるほど、小学校中退の万太郎を歓迎できずにいた。及川(池田鉄洋)との賭け事で「泣いて帰る」にベッドした丈之助。その予想は外れたことになるが、そんなことは露知らず、放心状態から我に返った万太郎は、丈之助に「一緒に通えますき!」と投げかける。
丈之助の胸中は複雑だ。徳永の言葉を借りれば、東京大学予備門を受験、卒業してから東大に入学という順序がある。万太郎はそこをすっ飛ばして、東大に通う権利を手に入れたのだから。だが、万太郎の努力も知っているし、もちろん応援したい気持ちもある。一人長屋で悶々としながら、出した結論は正直な思いをぶつけるというものだった。
丈之助は実家から仕送りも打ち切られたひもじい学生。貴重な双子の玉子を「ゴクリ」と一気飲みし気合を入れてから、万太郎に思いを伝えていく。地方で「神童」と呼ばれていた者でも崩れ落ちていく、丈之助が言う東大は“地獄”。生き残れるのはほんの一握り。それでも、東大には夢がある。夢を見ている連中が当たり前にゴロゴロいる。それは丈之助自身。よそ者の出入りを許すという徳永と同じ許せない思いもしっかりと伝えつつ、「頑張れ!」という真っ直ぐな情熱で押し通す。文学部であればきっとほかの言葉の引き出しもあっただろうが、それ以上に丈之助の語気、つまりは演じる山脇辰哉の芝居を持って彼のモヤモヤとした気持ちを一気に吐き出すという一連の流れが見て取れる。その思いを万太郎は真剣な眼差しで受け止める。山脇と言えば、『きれいのくに』(NHK総合)での役が印象的である。その際と似たベクトルにある泥臭い演技は彼の真骨頂としてこの第34話における主役級に光っていた。
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