『だが、情熱はある』は“リアルタイム”な楽しさがある ラジオやSNSで熱狂する芸人たち
もう1つの要素は、現在の若林、山里を知る芸人たちの反応だ。
学生時代からお笑いオタクだったというマヂカルラブリーの村上は、山里のコンビ“足軽エンペラー”や、養成所で頭角を現す山里の圧倒的な同期・キングコング(ドラマ内では、ヘッドリミット)などを当時リアルタイムで見ていたと『マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)で発言。
番組開始から2年。アニメの話をすることはあっても、ドラマの話題などには疎いと言っていたマヂカルラブリーの2人が「おもしろすぎる!」と盛り上がるのだから、その魅力は折り紙付きだ。
2人を慕い、ラジオフェアリーの異名を持つパンサーの向井慧は『#むかいの喋り方』(CBCラジオ)で、山里が養成所に入学して最初に組んだ相方・宮崎に高圧的に接する姿を見て、自身の若手時代を思い返したと話したことも。
また、後輩たちだけでなくお笑い界の大先輩・爆笑問題の太田光も『JUNK 爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)にて、同ドラマの魅力を熱弁。髙橋と森本のしゃべり方が本人たちに似ていると賞賛した。また「芸人をやっている人が見ると『わかる、この気持ちわかる!』と思うわけ。自分は本当に才能があるんだろうか、単なる凡人じゃないかとか」と自身の若手時代を思い返し「感極まっちゃって」ともコメント。若林、山里との思い出を語り「俺も出るかな?」と太田らしいユーモアを交えながら、絶賛していた。
上記で挙げた芸人たちだけでなく、ドラマに演者として参加している芸人・ヒコロヒーやトンツカタンの森本らのラジオでは演者ならではのエピソードも聞くことができる。
芸人のラジオをチェックし出したらキリがないが、いろんな人の目線から見た同作の楽しさは、作品への愛おしさをさらに加速させてくれる。
『波よ聞いてくれ』『日曜の夜ぐらいは...』春ドラマはラジオが熱い 偶然から生まれる奇跡
なんだか不安で眠れない夜、ラジオをかける。すると、そこから流れてくる誰かの話し声に妙に安心しきってよく眠れるのだ。無論、トークに…
ドラマがSNS上で盛り上がる理由のもう1つに、若林と山里の人生と見せかけて、私たち視聴者の心の内に入り込む柔らかさもあるように感じている。
日曜の夜、視聴者の中には、たった2日間だけの休日を終えて、また始まる5日間への憂うつさを増している人もいる時間帯だろう。
そんな時間帯に放送されている同ドラマには、私たちの本心に「幸せ」について問いかけてくることが多々ある。特に若林に向けて谷勝太(藤井隆)が問いかける「ねえ、今幸せ?」という言葉は「若林ならどう答えるのか」を考えさせる側、自分自身はどうなのかを考えてしまう不思議なパワーが宿っている。
仕事における目標を達成するため、次から次へとやってくる大量のタスクをミスなくこなすため、気づけば疑問を抱くこともなく、がむしゃらに走っているときにこそ、谷の言葉は刺さってくる。自分にとっての幸せとは、なんなのか。本当はこんなに頑張らなくてもいいんじゃないかと。
また、卑屈なことを考えたり、マイナスな感情を抱いたりすることはどうしてもネガティブに捉えられがち。しかし、このドラマでは若林と山里の負の感情を、これでもかというほどに描いている。そんな彼らの負の要素を見ていると「あ、こういうこと考えてしまうのって自分だけじゃないんだ」と勝手に安心することもある。
少しナイーブな気持ちになりがちな日曜の夜。『だが、情熱はある』には、無理に前を向かせるのではなく、あるがままの自分と向き合わせてくれる優しいパワフルさが潜んでいる。
毎度、恒例になりつつあるSNSでの盛り上がりっぷりは、多くの人を多角的に楽しませ、そして自分自身の人生を見直す優しさをドラマが与えてくれているからだろう。
■放送情報
日曜ドラマ『だが、情熱はある』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:髙橋海人(King & Prince)、森本慎太郎(SixTONES)、戸塚純貴、富田望生、三宅弘城、池津祥子、ヒコロヒー、渋谷凪咲(NMB48)、中田青渚、箭内夢菜、森本晋太郎(トンツカタン)、加賀翔(かが屋)、賀屋壮也(かが屋)、藤井隆、坂井真紀、白石加代子、光石研、薬師丸ひろ子
脚本:今井太郎
演出:狩山俊輔、伊藤彰記
プロデューサー:河野英裕、長田宙、阿利極
チーフプロデューサー:石尾純
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/daga-jyounetsu/
公式Twitter:@daga_jyounetsu