『だが、情熱はある』に感じる“言霊”の力 “相方”戸塚純貴&富田望生の演技が光る

『だが、情熱はある』光る“相方”の演技

 「今、幸せ?」と聞かれて、「幸せです!」と即答できる人は、この世界にどれくらいいるのだろう。少なくとも、私はちょっぴり戸惑ってしまうと思う。なんなら、「嫌味を言われている?」なんて心のなかで悪態をついてしまうかもしれない。

 しかし、『だが、情熱はある』(日本テレビ系)第6話を観て、幸せとは“卵が先か鶏が先か”みたいなものなのかもしれないと思えてきた。たとえ、しんどい日々を過ごしていたとしても、「私は幸せ」と言い聞かせていたら、いつの間にか幸せな自分になっている。第6話は、“言霊”の力も感じた回だった。

「四の五の言っても、幸せになったもん勝ちよ!」

 大病を患っているはずなのに、ナイスミドルの師匠・谷勝太(藤井隆)は、いつも笑顔で「幸せー!」と叫んでいる。きっと、その裏には苦悩もあったのだろう。また、ステージに立てるのだろうか……という不安も感じていたはずだ。それでも彼は、「嫌になっちゃうけど、それでも私生きてる!」と言ってのける。その姿を見ていると、幸せになれる人間となれない人間の違いが浮き彫りになってしまったように思えてきて、胸が苦しくなった。

 谷ショーと同じく、幸せになれる人間の代表格なのが春日(戸塚純貴)だ。視聴者からも、多くの反響を集めている春日のキャラクター。ドラマを通して彼の奇行を追いかけていると、飴玉でジュースを作るのなんてまだまだ序の口で、春日の本来のすごみは人生を楽しんでいる点にあることに気付かされる。

「春日っていつも幸せそうなんですよね。こんなに金ないし、売れないし、世間から無視されてるのに。でも、俺はこのままじゃ嫌で……」

 若林(髙橋海人)は、かなり辛かったはずだ。だって、春日のように自由に生きられる人間は一握りだから。そのため、目の前に現れたどうしようもない“光”に、私たちはつい吸い込まれてしまう。「こんなふうになりたいな」と憧れを抱き、「でも、無理だろうな」と諦めてみたりする。そんな気持ちにさせるのが、スターの素質というものなのだろうか。

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