『日曜の夜ぐらいは...』に感じる『想い出づくり。』の影響 山田太一を継承した岡田惠和

山田太一を継承した岡田惠和

 さて、シリアスなトーンで進むのか思われた本作だが、第2話では、3人が別れる前に買った宝くじの1等が当選し、3000万円を3人で分けようとサチが提案するという、まさかの展開が起こる。

 また、バスツアーの世話役を務めているベテランリスナーの市川みね(岡山天音)とサチが偶然再会し、その後、みねが翔子のタクシーに乗り合わせるという偶然の連鎖が続くという、リアリティを第一に考えるドラマなら、ありえない展開が続く。

 このあたりはNHK連続テレビ小説『ちゅらさん』などの作品でみせた、ファンタジーに振り切った大胆な展開である。リアルとファンタジーの共存が岡田作品の魅力だが、この配分はとても難しく、さじ加減を間違えるとリアルな世界観が壊れてしまう心配もある。

 だが一方で、宝くじの当選のくだりが第1話ではなく、第2話で描かれたことによって、連続ドラマならではの先が読めない緊張感が生まれたことは確かだ。何より、リアルとファンタジーの両輪が揃ったことで、より岡田作品らしくなったと感じる。

 山田太一の作風を継承しながらも、ファンタジーを手離さない本作がどこに着地するのか。最後まで見届けたい。

■放送情報
『日曜の夜ぐらいは...』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:00〜放送
出演:清野菜名、岸井ゆきの、生見愛瑠、岡山天音、川村壱馬(THE RAMPAGE)、やついいちろう(エレキコミック)、今立進(エレキコミック)、椿鬼奴、飛永翼(ラバーガール)、橋本じゅん、和久井映見、宮本信子ほか
脚本:岡田惠和
演出:新城毅彦、朝比奈陽子、高橋由妃、中村圭良
企画・プロデュース:清水一幸
プロデューサー    山崎宏太、山口正紘、郷田悠(FCC)、浅野澄美(FCC)
制作協力:FCC
制作著作:ABCテレビ
©︎ABCテレビ
公式サイト:https://www.asahi.co.jp/drama_22_abctv/
公式Twitter:@nichigura_abc
公式Instagram:@nichigura_abc

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる