『風都探偵』『黒の召喚士』『ヒロアカ』 内山昂輝の“クールさ”が刷新された2022年
2022年も終わりに差し掛かり、今年放送のアニメを振り返るコラムが見受けられる時期になった。今回は、2022年の人気アニメの中で数々のキャラクターを演じてきた内山昂輝に注目したい。内山といえば、落ち着いた声色にマッチする、どこか影のあるキャラクターを演じることが多い印象だが、作品によっては、そのイメージを良い意味で覆す演技を見せた2022年だった。
内山のラジオリスナーの一人として、毎週コーナーを聴きながら思うに、一つの物事を突き詰めていく姿勢のようなものを感じる。あくまで筆者の推測に過ぎないが、作中のキャラクターのことや映像の届き方への強い「イメージ」へのこだわりが、彼の表現力の根元にあるのではないか。
ラジオ『内山昂輝の1クール!』(文化放送)を含む、文化放送でラジオパーソナリティーを務める声優が集まる『EXTEND FES 10th ANNIVERSARY』や、『ヒロインたるもの!~嫌われヒロインと内緒のお仕事~』スペシャルサニーパーティーなども開催されるなど、イベントでも活躍の場をますます広げた内山。そんな内山の2022年の活躍を5つのアニメから振り返る。
『風都探偵』
『風都探偵』は、『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて連載中の同名原作のアニメ版だ。平成仮面ライダー第11作『仮面ライダーW』のその後を描く。内山が演じるのは、仮面ライダーWに変身し、風都で起きる怪事件に挑む「風都探偵」の片割れ、フィリップ。実写からのゲーム・アニメ化となったことから、ゲーム版から引き続く内山ならではのフィリップの解釈に触れることができる作品でもある。
冷静沈着なフィリップは、クールなキャラを演じることの多い内山にぴったりな配役だと感じた。二人で一人という設定から、相棒・左翔太郎を演じる細谷佳正との見事なコンビネーションも素晴らしかった。
『クールドジ男子』
財布を忘れたり、イヤホンをジャックに挿し忘れたり。『クールドジ男子』は、そんなどこか抜けた“カッコ可愛い”イケメンたちの日常を描いたコメディアニメだ。イケメンたちの、オフビートなゆるい会話のテンポ感がクセになる。本作で内山は、ドジを指摘されても認めない、強がりストイックタイプ・二見瞬役を演じた。
努力家で負けず嫌いな性格の瞬は、失敗すらクールに決めたいと思っている。失敗をしても平静を装い、ツンとしたすまし顔を崩さない瞬。内山のトーン低めの心地よいゆるボイスとドジのギャップが相まって、観る人に癒やしを与えてくれる。
『ヒロインたるもの!〜嫌われヒロインと内緒のお仕事〜』
2022年4月から6月にかけて放送された『ヒロインたるもの!〜嫌われヒロインと内緒のお仕事〜』(以下、『ヒロインたるもの!』)では、HoneyWorksのプロデュースするユニット・LIP×LIPの染谷勇次郎を演じた。LIP×LIPの楽曲はTikTokや歌ってみたシーンでも話題を呼び、演技力だけでなく確かな歌唱力がアニメの枠を超えてファンを盛り上げた。
ステージで輝く高校生アイドルということで、内山の“王子様キャラ”の演技を垣間見ることができる本作。キラキラしたアイドルソングである劇中歌のMVは、公式YouTubeでも楽しめる。LIP×LIPによるオープニングテーマ「ジュリエッタ」では、推しとファンの関係性にクローズアップした歌詞に聴き手への愛を感じた。
島﨑信長演じる愛蔵とのライバル関係も含めて、高校生の成長が描かれる中で内山のさまざまな表情を収めた作品として印象的な作品だった。