上白石萌歌、『ペントレ』の現場は「“お芝居を届ける”熱意がある」 撮影の日々を語る
先が読めない展開で視聴者を釘付けにしている金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(TBS系)。偶然同じ電車に乗り合わせた見ず知らずの乗客たちが、突如、未来へとタイムスリップ。水、食べ物、電気……当たり前のようにあったものが消え去り、明日への希望も見出しづらい中で、乗客たちはどう未来を切り開いていくのか。圧倒的なロケーションを背景に各キャスト陣が好演を見せる中、本作の“ヒロイン”を務めているのが、畑野紗枝役の上白石萌歌だ。萱島直哉役の山田裕貴、白浜優斗役の赤楚衛二らキャスト陣とどんなチームワークを築いているのか。撮影の裏側をじっくりと聞いた。(編集部)
「本当に楽しくて、すごく雰囲気のいい現場」
――ここまで撮影されてきて、キャスト同士の仲は深まりましたか?
上白石萌歌(以下、上白石):回を追うごとにどんどんチーム感が出てきて、キャストのみんなもそれぞれのキャラクターにどんどん寄ってきているように思います。たとえば、米澤役の藤原(丈一郎)さんはどんなときもムードメーカーのように現場を和らげて盛り上げてくれたり、加藤役の井之脇(海)さんはすごく博識でいろんなことを教えてくれたり。それぞれのキャラクターに当て書きなんじゃないかなっていうくらい、その人の良さがキャラクターにも反映されている気がしていて。登場人物たちが結束していくように、素の私たちも結束していくのがわかるので、みんなで一生懸命サバイブしてきた甲斐があるなと思っています。
――山田さん、赤楚さんの印象はいかがですか?
上白石:山田さんは前の作品(NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』)で義兄役だったので、親戚のような安心感を勝手に抱いています(笑)。私は以前から“職人”だと思っているんですけど、役作りというより、撮影期間中はずっと役を自分の中に住まわせている。前の作品をやっているときと今回でまったく違うものを感じるし、カメラが回っていないところでも直哉でいるような佇まいを見ているので。私の場合、役を演じているときには自分のこと以外は見えなくなってしまう瞬間が結構あるんですけど、山田さんはずっと現場を俯瞰で見ていらっしゃって、役者でありながら助監督のポジションのような(笑)。いつも尊敬の眼差しで見ていますし、たくさん相談にも乗っていただいていて、とっても頼らせていただいてる存在です。赤楚さんは、現場に立っているだけで風通しを良くしてくれて、私も和ませてもらっています。朝早い時にもボケをかましてきたりとか、共演者さんの中で一番ギャップがありました(笑)。赤楚さんが現場に一歩入るだけでみんなが笑うし、すごく明るくなる。直哉と優斗ではないけれど、2人の持つ空気感にはまったく違うものがあって、それぞれすごく魅力的です。私は2人のバランス感が現場にそのまま生きている気がするし、とても信頼しています。
――井之脇さんとは多数の作品で共演されているので、やはり安心感がありますか?
上白石:安心感というか、もう親戚感というか(笑)。安心感もあるけど、同時に身が引き締まります。たぶん1年に2回くらい毎年共演していて、海くんに会うと「前に一緒に作品を作っていたときの自分よりも、もっと成長していたいな」と思うので、安心と緊張が同じくらいある感じですね。自分のことをずっと見てくれている存在でもあるし、私がずっと見ている存在でもあるので、より良い自分でいたいなって思います。
――撮影の待ち時間には、どんなことで盛り上がっていますか?
上白石:最近は、本の貸し借りが流行ってます。和真役の日向亘くんが読書家で、本屋大賞を取った本を私に教えてくれて、「どうですか?」って感想を聞いてくれたり、弘子役の大西礼芳さんはすごく漫画好きで、漫画を貸してくださったり。日向くんが薦めてくれた本を藤原さんも読んでいたり、“同じ本をみんなで読む”みたいな状態になっていて、それが学校のようですごく楽しいですね。私は、クランクインする前からずっと「学園ものみたいだな」と思ってたんですけど、どんどん学園モノ感が増してきたというか。大人になってから、毎日同じ人と顔を合わせることってあまりないので、その感じが楽しくなってきています。柔らかい方が多くて年齢差も全然気にならないですし、男女比でいうと男性の方が多いんですけど、そういう差もまったく感じなくて。雑談するときは本当にくだらないことばっかり話していますけど(笑)、本当に楽しくて、すごく雰囲気のいい現場だなっていつも思っています。