新垣結衣は視聴者を味方につける 『風間公親-教場0-』で放った強烈な光
弱さの奥に、絶対に外すことにできない強さを宿してみせた新垣結衣
谷本・尾山コンビに「風間さんの質問は絶対!」「すぐに答えろ!」と事前アドバイスを受けていた隼田は、生真面目な性格から、宇部の死体を前に「自殺か他殺か、どう思うか」との風間の問いに「わかりません!」と即答。さらに「わからないと胸を張って答えたのはキミが初めてだ」と言われて「ありがとうございます」と応えてしまう。刑事としてどうなのか、見込みがあるから道場に呼ばれたのでは?と疑問が沸きそうになるが、それだけ真面目なのだろうと、新垣の巧さと醸す空気感が多分に助けとなり、納得してしまう。余談だが、その厳しさから「風間道場」と呼ばれる風間の指導。椎垣を追い詰めた場面では、解剖室という密室で、「続けろ」「追い込め」と、すぐ耳元から、部屋の隅から指導していく風間の圧は、門下生たちには申し訳ないが、視聴者的には、これから楽しみのひとつになってしまう。
そして第3話で新垣の魅力をもっとも感じたのが、終盤の風間との場面だった。倒れてしまった隼田に、転属願の紙を突きつけた風間に、隼田が言った。「子どもがいるからうまくいかないとは言いたくないです。私は、子どもがいるから、仕事がうまくいくと言いたいんです」と。いじわるに取れば、シングルマザーが登場するドラマとしては常套のセリフかもしれない。だが、その言葉を口にした直後、風間の目をまっすぐに見た隼田の瞳にハッとさせられた。そこには弱さの奥に、絶対に彼女から外すことのできない強烈な強さがあった。この強い光を感じられただけで、第3話を観たかいがあったと思えるほどに。
新垣の俳優デビューは2005年。俳優としてのキャリアは今年で19年目となるが、彼女自身が持っているのであろう繊細さを役柄にもにじませることのできる魅力的な存在だ。第4話では、シングルマザーとして葛藤を抱える隼田が、19歳で母親となった被疑者(生見愛瑠)と対峙する。これが初共演となった木村と新垣。第4話では、一層濃いぶつかり合いを見せ、それぞれの魅力がより伝わってくるだろう。そう期待している。
■放送情報
フジテレビ開局65周年特別企画『風間公親-教場0-』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:木村拓哉、赤楚衛二、新垣結衣、北村匠海、白石麻衣、染谷将太ほか
原作:長岡弘樹『教場0 刑事指導官・風間公親』『教場X 刑事指導官・風間公親』(小学館)
脚本:君塚良一
演出・プロデュース:中江功
プロデュース:渡辺恒也、宋ハナ
音楽:佐藤直紀
主題歌:Uru「心得」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作・著作:フジテレビ
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