『レナベーション』は除雪車事故の経緯ともリンク “ヒーロー”としてのジェレミー・レナー
人気俳優のジェレミー・レナーが2023年1月、車の事故で大怪我を負ったというニュースが世界中を駆け巡り、多くのファンが彼の容態を気に掛ける事態となった。その事故は、ネバダ州にあるレナーの自宅近辺で起こった。大雪で身動きが取れなくなった他人の車を助けるため、率先して自身の除雪車で除雪作業を引き受けた際、誤って轢かれてしまったというのだ。
顔や肋骨を含め30箇所も骨折するという惨事に見舞われたものの、緊急手術とリハビリを耐え抜いたレナーは、その後、自分の足でインタビューや配信番組の告知イベントに参加するまでに回復した。その番組とは、ここで紹介する、ディズニープラスで配信が始まった『レナベーション』のことだ。
本番組『レナベーション』のタイトルは、「ジェレミー・レナー」と「リノベーション」を合わせたもの。レナー率いるチームが、毎回のエピソードごとに大型車をリノベーション(修復・再構築)し、さまざまな地域で子どもたちに貢献できる専用車に生まれ変わらせるプロジェクトを追ったリアリティショーである。
『名車再生!クラシックカー・ディーラーズ』、『カー・マスターズ ~スクラップがお宝に変わるまで』、『ラスト・バレー・レストーラー:修復は俺たちに任せろ!』などなど、車の修復にまつわるTV、配信番組は、イギリスやアメリカで数多く制作されるほどの人気の題材。日本でも『千原ジュニアの名車再生!プロジェクト』(dTVチャンネル)が制作されている。
そのなかで本番組の特徴は、もちろんジェレミー・レナーが中心になっているという点と、社会貢献を念頭に置いているという点にある。シカゴの慈善事業団体のためツアーバスを移動式音楽スタジオに改造したり、メキシコの子どもたちのために市バスをダンススタジオに改造したり、ネバダ州の非営利団体のためにシャトルバスを移動式のレクリエーションセンターに作り変えて届けるといった具合だ。
現在配信されている最初のシーズンは、レナーの事故の前に撮影されたものであり、直接の関係があるわけではないが、それでも他者のために除雪車で危険を顧みず作業に尽力したレナーの献身的な姿勢は、この配信シリーズと重ねて考えずにはおれない。スター俳優はカメラの前で良い格好をする職業ではあるが、彼はカメラが回っていないところでも、困っている人をすすんで助ける人柄だということが、この事故の経緯が証明することになったのだ。
近年のジェレミー・レナーは、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の映画『アベンジャーズ』シリーズなどで「ホークアイ」という弓の達人のヒーローを演じて広く認知され、同役でドラマシリーズの主演も務めていた。他者のためにボランティア精神を発揮するレナーは、まさに役に相応しい“ヒーロー”と呼べる存在だったといえよう。