橋本環奈&山田涼介の強さが滲む 『王様に捧ぐ薬指』ビジュアルの良さだけではない予感

『王様に捧ぐ薬指』ビジュアルだけではない?

 なんとも眼福なドラマが始まった。4月18日よりスタートした火曜ドラマ『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)のことだ。橋本環奈×山田涼介(Hey! Say! JUMP)というタッグは、その名前の並びからすでにキラキラとしたエフェクトが見えるようだが、このドラマはただビジュアルの良さだけではなさそうな予感がする。

新田東郷(山田涼介)

小気味良いやり取りに滲む橋本環奈&山田涼介の強さ

 橋本演じるヒロインの羽田綾華は、かわいすぎるがゆえにいらぬ嫉妬や誤解を受けてきた。人から好かれる見た目をしているのは恵まれていること。しかしだからこそ、その苦労をわかってくれる人は少ない。その外見から「人生イージーモード」なんて言われるシーンもあったが、望んでいない相手から好意を持たれ、そのたびに周囲から反感を買うなんて、かなりしんどいものだろう。ならば最初から壁を作ってしまおうと綾華はあえて悪女を演じてきたのだった。

 その綾華のキツイ態度に「惚れる心配がないから」と、プロポーズをしたのが山田扮する新田東郷だった。彼もまた生まれながらに“持っている”側の人。見目麗しく、さらに大企業グループの後継者という将来を約束された人生を歩んでいる。しかし、それゆえに親の敷いたレールの上でしか生きられないという窮屈さを抱えてきた。もちろん、そんな豊かな人生に対する不満に共感してくれる人も少ない。結果的に不器用なツンデレタイプになってしまったという意味では、綾華と同類だった。

 綾華は貧しい家族を守るお金を得るために。そして東郷は自身が経営する結婚式場「ラ・ブランシュ」の業績を立て直すために。お互いのメリットを見込んで結婚をしようと契約を交わす2人。幸せな夫婦として広告塔になることで、「『ラ・ブランシュ』で結婚式を挙げたい」と、世間に思わせるのが大きな目的だ。そのために東郷は綾華に1,000万円を渡す。

 そのお金を、そっくりそのまま家族の口座に振り込むというのが綾華の気前のいいところ。婚約者を綾華に奪われたと思い込んだ渡辺(小野ゆり子)が逆恨みをして、カミソリを手に綾華と東郷の結婚式に乗り込んだ際も、機転を利かせて騒ぎを未然に防ぐ。自らの手を負傷しても渡辺の人生を守ろうとした言動は、惚れ惚れとするものだった。

羽田綾華(橋本環奈)

 美しいことは誰から見てもわかりやすい魅力だ。しかし、その光が眩しすぎると、その奥にある人となりの部分をまっすぐに見てもらえないことも。恵まれた光が、むしろその人の幸せを邪魔をするなんてことがあるとは……。それは贅沢な悩みとも思えるが、橋本&山田という誰もが美男美女だと認めざるを得ない2人が遠慮なく不満をぶつけ合う姿を見ていると「持ってる側も大変だ」なんてどこか同情できるから不思議だ。

 きっと、そのしんどさをもバネに強く生きる様子が、2人の背負ってきたものと重なるところがあるからではないか。まさに2人が、ビジュアルの良さだけではなく、いろんな思いをエンタメとして昇華した、そんな力の持ち主たちである証のドラマとなりそうだ。

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