『らんまん』綾の複雑な胸中を好演 佐久間由衣は“心のグラデーション”を魅せる

佐久間由衣が魅せる“心のグラデーション”

 NHK連続テレビ小説の出演が“ひとつの転換期”となる俳優は多い。特にブレイク前だと本人的にも自信に繋がるだろうし、視聴者としても「朝ドラに出ていた役者さんだ」と応援したくなる。

 現在放送されている『らんまん』(NHK総合)に出演中の佐久間由衣も、そんな朝ドラで俳優人生が大きく変わったひとりだ。2013年に『A/W GirlsAward ViVi専属モデルオーディション』でグランプリ受賞後、170センチの身長と抜群のスタイルを武器に、雑誌『ViVi』(講談社)の専属モデルとして活躍した佐久間。俳優としては、映画『人狼ゲーム ビーストサイド』(2014年)にてデビューを飾る。

 そんな彼女が一躍注目を浴びるきっかけとなったのが、2017年に放送された朝ドラ『ひよっこ』(NHK総合)である。本作にて彼女は、ヒロイン・谷田部みね子(有村架純)の幼なじみ助川時子を演じた。スタイルが良くておしゃれで、端正なルックスを持つ時子は、高校卒業後に就職しながらも、俳優を目指して一念発起する……という役どころ。

『ひよっこ』はなぜ愛されたのか “欲望”を過剰にしなかった昭和のもう一つの物語

現在夕方に再放送されている“朝ドラ”『ひよっこ』(NHK総合)を観るとほっとする。2017年に放送された作品で、ヒロインがあんま…

 「夢を追いかけること」への厳しさや現実にぶち当たりながらも、前に突き進む時子はとても魅力的だったし、地元にいたころと、東京でステージに立つ彼女が同一人物だとは思えないくらい輝きが違った。『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 らんまんPart1』(NHK出版)に掲載されたインタビューによると、佐久間は同作の出演を「財産」と表現しているが、まさに彼女にとってターニングポイントとなった作品だろう。

 朝ドラのキャストに名を連ねたことをきっかけに、佐久間は数多くのドラマや映画に出演することとなる。ドラマでは、小芝風花、中島健人(Sexy Zone)がW主演を務めた『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジテレビ系)にて、桐山梨沙を好演。佐藤愛(小芝風花)の親友でルームメイトの彼女は、あることをきっかけに、愛の気持ちを知りながらも長谷部宗介(中島健人)に惹かれる。『最愛』(TBS系)では、宮崎大輝(松下洸平)とバディを組む“桑子”こと桑田仁美役を、同じく刑事役としては『初恋の悪魔』(日本テレビ系)で新人の服部渚を演じた。

 そんな佐久間が、現在『らんまん』で演じているのが、槙野万太郎(神木隆之介)の姉・綾だ。公式ガイドで佐久間は、彼女のことを「太陽に向かって伸びる植物のように、前を向いて生きる人」と印象を述べている。綾は、生家である酒蔵「峰屋」の仕事にもっと深く関わりたいが、女性ゆえにそれが許されない……。このまま自分の気持ちを押し殺して生きていくのか? それとも自分の気持ちに正直に生きるのか?

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