『東京リベンジャーズ』実写化の壁を突破した圧倒的な熱量 北村匠海が弱い自分に向き合う

『東京リベンジャーズ』の圧倒的な熱量

 だから、未来を変えようと思ったら自分自身を変えるしかない。『東京リベンジャーズ』は徹底してそのことにフォーカスしている。10年前に戻ったタケミチは10年前と同じ不良に袋叩きに遭う。タケミチは常に対峙し、対決することを求められる。自分より強い不良や圧倒的な敵グループを前にして、逃げたい気持ちを抑えて大切な人のために死に物狂いで戦うのだ。でも本当に戦っている相手は弱い自分自身だ。

 不良仲間の千堂敦(磯村勇斗)がタケミチを「泣き虫のヒーロー」と呼ぶのは親友に対する最大限の称賛で、勇気を奮い起こして戦うタケミチが出会う人々を味方に変えるのはちゃんと理由がある。『東京リベンジャーズ』には今どき珍しい不良イズムや仲間のために体を張る義侠心がみなぎっていて、純度の高い熱をそこかしこに感じられる。喧嘩や抗争もただの殴り合いではなく、思いが乗った拳がバトルシーンで圧倒的な迫力を生み出す。

 シリーズの起点となる第1作は後に続くキャラクターの顔見せ的な要素もあって、『血のハロウィン編』につながる伏線も随所に仕掛けられている。原作に沿って進行するなら、今後さらに怒涛の展開が待ち受けている。加速度的に凄みを増す『東京リベンジャーズ』の1作目として、画面に刻まれた熱量をぜひ受け取ってほしい。

■放送情報
映画『東京リベンジャーズ』
フジテレビ系『土曜プレミアム』にて、4月15日(土)21:00~23:30放送
出演:北村匠海、山田裕貴、 杉野遥亮、今田美桜、 鈴木伸之、 眞栄田郷敦、 清水尋也、磯村勇斗、間宮祥太朗、吉沢亮
原作:和久井健『東京卍リベンジャーズ』(講談社『週刊少年マガジン』連載中)
監督:英勉
脚本:髙橋泉
©和久井健/講談社 ©2020 映画「東京リベンジャーズ」製作委員会

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