山田裕貴が歩む“主人公”の道 エキストラなどの下積み時代から大河、月9、映画の中心に

山田裕貴が歩む、主人公の道

 4月21日より新金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(TBS系/以下『ペンディングトレイン』)の放送がスタートする。本作は、一両の電車がある日突然、水も食料も電気もない荒廃した未来にワープ、たまたま同じ車両に乗り合わせた見ず知らずの乗客たちが極限下でどう生き延びるかを追う“ヒューマンエンターテインメント”だ。

 そんな本作で主演を務めるのは、俳優の山田裕貴。彼もまた芸能界という厳しい世界を生き抜いてきた一人である。ちなみに、山田が民放ゴールデン・プライム帯連ドラ初主演を飾るのは今回が初。ずっと活動を追ってきたファンからすると、「ようやく!」と感じるのではないだろうか。

 山田の俳優人生はエキストラに始まり、2011年に松坂桃李や千葉雄大を輩出したスーパー戦隊シリーズ第35作『海賊戦隊ゴーカイジャー』(テレビ朝日系)でサブリーダーのジョー・ギブケン/ゴーカイブルーという大きな役を勝ち取るも、同シリーズの先輩である松坂桃李や千葉雄大のようにすぐさまブレイク……とはならなかった。そこからまたしばらく、これといった代表作が見当たらない下積み時代に突入する。

 それでも諦めなかった理由が伺えるエピソードを、山田が2021年に出演した『人生最高レストラン』(TBS系)で語っていたのを覚えている。元プロ野球選手・山田和利を父に持ち、自身もプロ野球選手を目指していたことがある山田。だが、挫折し、野球から離れた後に母校が甲子園に出場。かつて戦っていた仲間たちが、自分が夢みた舞台で活躍しているのを見て激しく後悔したという。その時に「次に挑戦することは絶対死ぬまで続ける」と心に決め、始めたのが俳優業だった。

 そんな山田にとって、大きなターニングポイントとなった作品が『HiGH&LOW』シリーズだ。5つのチームが拮抗する“SWORD地区”を舞台に、男たちの友情と熱き闘いを描いた本作。山田は5つのチームのうち、“漆黒の凶悪高校”の異名を持つ鬼邪高校の定時制初代番長・村山を演じた。

『HiGH&LOW THE WORST』©︎2019 高橋ヒロシ(秋田書店) /「HiGH&LOW」製作委員会

 「100発の拳に耐えた最強の男」と聞いたら、普通は誰しも人を寄せ付けないようなオーラを放つ人物を想像するだろう。しかし、山田が演じる村山は飄々としていて何を考えているかわからない怖さはあれど、意外に隙もある。ちなみに、「あっかんべー」というお茶目なポーズも山田のアドリブ。そんな風に、山田はただ与えられた設定に沿って演じるのではなく、役と真剣に向き合い、自分なりの解釈を芝居に落とし込む。結果、どのキャラクターも平面的ではなく立体的な人物として浮かび上がってくるのだ。

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