『らんまん』寺脇康文演じる蘭光のあまりに大きい存在感 “家”の問題が万太郎を縛る
連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)第9話は、突発的な事態によって放送時間が変更となった。朝の朗らかな時間が奪われたことと軌を一にするように、劇中でも主人公をめぐって環境の変化が現れた。
名教館で池田蘭光(寺脇康文)と出会い、学問のおもしろさに目覚めた万太郎(小林優仁)だったが、祖母のタキ(松坂慶子)は家業そっちのけで勉強に打ち込む万太郎を危惧する。「当主の自覚が足らん」と叱り、商売について学ばせるため、学問所をやめさせようとするタキに万太郎は反発。現在12歳で、数年後に造り酒屋を背負って立つ当主なので仕方ないことであるが、せっかく育った探究心の芽が摘み取られてしまうのは惜しい。
しかし、蘭光は予想外の反応を見せる。郷校だった名教館は今月いっぱいで廃止され、小学校ができるのだという。誰もが学べる小学校なら通わない理由がなく、タキの心配は及ばない。それよりも、万太郎にとって蘭光がいなくなってしまうことが大問題だった。離任を残念がる万太郎と佑一郎(岩田琉生)を蘭光は1泊2日の野外授業へ連れ出した。
高知県を流れる仁淀川。美しく澄んだ流れから「仁淀ブルー」として知られる河川を万太郎たちは遡上。川べりに野宿し、野に生える草から食べられるものをより分け、夕餉の糧にする。今ならアウトドアのキャンプだが、大自然のふところに抱かれた体験は万太郎の原点になったはずだ。