『わたしのお嫁くん』波瑠&高杉真宙は理想の関係に ズボラ女子が解体した男女の“幻想”
これは、単なる年下男子との胸キュンものではない。『わたしのお嫁くん』(フジテレビ系)第1話では、新たな“興味深い関係性”が紡がれ始めた。
大手家電メーカー「ラクーン・エレクトロニクス」の営業部エースで、“理想のお嫁さん”の呼び声高い速見穂香(波瑠)だが、家は散らかり放題の汚部屋だった。仕事では“完璧”を地でいく穂香だが、気を利かせているのはあくまで仕事上の話。周囲の目も気にする必要がなく、誰からの評価も介在しない唯一の自分のためだけの空間ーー自宅での過ごし方くらい他人からとやかく言われたくはないのだろう。
筆者も実際に穂香のような人を知っている。家の外で隙も見せず常に気を張り闘い、相手の要望や期待を上回るアウトプットをしているのだから、家の中でくらい自堕落な生活をしたって誰にも迷惑をかけないし、罰は当たらないだろう。
それなのに、あくまで仕事をスムーズに進めるために発揮している自身の気遣いや3つの「感」(清潔感、安心感、満足感)を、勝手に“家庭的”、“良いお嫁さん候補”として当然のごとく変換し結びつけられる。さらには、相手はそれをまるで100%の賛辞であるかのように口にする。相手に悪気がないのがわかっているからこそ、穂香はより傷つく。理解されないのだと諦めが滲む。
そして仕事とは違って無償でその高パフォーマンスにあやかろうとする、言い換えれば“搾取”しようとするような相手の本音を嗅ぎ取り、その都度見過ごせずに違和感を滲ませる穂香。この役柄は波瑠以外に考えられないと早々に感じた。日常に潜む違和感を見逃すことができないために、静かに傷つき、諦め切れず、それでも抵抗しようとする。そんな役どころが、波瑠にはよく似合う。