『離婚弁護士シン・ソンハン』チョ・スンウを支えた男同士の友情 結婚にまつわる至言も

『離婚弁護士シン・ソンハン』が迎えた結末

 本作が、他のリーガルドラマと違う最大の理由は、この男同士の関係性や、ソンハンの周囲の人たちの描き方だ。裁判シーンは、どうしても緊迫したものとなってしまうが、ドラマ全体を通して描かれているのは、「人間ドラマ」だ。ソンハン、ヒョングン、ジョンシクの友情を核とし、人間味溢れる様を描いているので、ドラマ全体に流れる空気に温かみがある。リーガルドラマを観ているというよりも、叙情的なヒューマンドラマとして、観る者の心をがっつりと掴んで離さないのだ。

 さらに、感情を揺さぶられる言葉が多いのも特徴的だ。ソンハンは裁判で、結婚について「結婚とは山のウサギと海のカメが出会い、海岸に住むことだ」「離婚とは共に暮らしていた彼らが互いの故郷を恋しく思うようになり、元の場所に戻ることだ」という言葉を引用し、子どもの気持ちを一度でもいいから聞くように諭した。3組に1組は離婚すると言われる現代社会で、この言葉は他人事ではなく、沁みる人も多いのではないだろうか。韓国での原題は、「神聖な離婚」というタイトルなのだが、その名の通り、神聖な離婚劇であった。

 チョ・スンウが、冷静沈着に見えながら、心は熱く、愛情深いシン・ソンハンという愛さずにはいられないキャラクターに息を吹き込み、全12話で物語は終幕したが、ヒョングン、ジョンシクとの男3人の友情もまだまだ観ていたい気持ちにさせられた。ヒョングンの恋の花が、想像よりも大きな大輪の花を開かせたことが、とても嬉しい。暖炉の炎にあたっているような暖かみを感じさせてくれた上質で素敵なドラマであった。

■配信情報
『離婚弁護士シン・ソンハン』
Netflixにて配信中
(写真はJTBC公式サイトより)

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