横浜流星×奥平大兼が初共演を語り合う 『ヴィレッジ』で優&龍太を生き切って感じたこと
後輩が増えてもやるべきことは変わらない
ーー横浜さんと共演して、“ここがすごかった”というところはありますか?
奥平:流星くんはストイックだなと思ったんです。でも僕はあまりそういうことができなくて。最近、別の現場にもすごくストイックな子がいて、お芝居をやる前にちゃんと関係性を築きたいと言われて、僕はあまりそういう発想にはならなかったので、ちゃんとしなきゃなと思って。でも、よく考えたら一番最初の『MOTHER マザー』のときには全部の撮影現場に行って見学したりしていて、いま考えるとちゃんとやっていたなと思うし、もしかして怠けちゃったりしてるのかなと思って。もちろん全力でやっているつもりではあるんですけど、そういうところをちゃんとやるのって絶対無駄じゃないし、それが活きてくる瞬間って絶対あるから。だから、ちゃんといいところは、盗んでやろうと思いました。
横浜:でも僕はそれができなくて。不器用だから、突き詰めないといけなくなっているんです。それをしないでポンとできるのはすごいことだよ。たぶん、感受性が豊かだから、全部吸収して周りの空気とか相手の言葉をちゃんと受け止められているから、できているんだと思う。奥平くんのやり方もあるから、全部を考えて、ストイックにやりすぎるのも良くない。良いところだけ吸収して、自分のものにしてやっていった方が絶対いいと思う。良さが消えちゃうから。
ーー横浜さんは、綾野剛さんや田中圭さんなど、今までは先輩がたくさんいる立場だったと思いますが、今回のように自分が先輩になることがこれからもたくさん増えていきますよね。そういう環境の変化に対して気持ちの変化はありますか?
横浜:全く変わらないですね。この前も舞台をやったんですけど、僕は言葉でみんなを盛り上げられるタイプじゃないので、自分がやるべきことをやって、その姿を見てみんながついてきてくれるようになってくれればいいなと思っているので。やるべきことは後輩が増えても変わらないですね。
奥平大兼の“忘れられない言葉”
ーー藤井監督とは、横浜さんは『青の帰り道』(2018年)、Netflixシリーズ『新聞記者』(2022年)に続いての再タッグになりましたが、奥平さんは今回が藤井組初参加となりましたね。
奥平:もちろん藤井さんのことは存じ上げていましたが、僕にとっては全部の現場が初参加なので、特別ということはなく、いつも通りでした。ただやっぱり、本作プロデューサーの河村(光庸)さんの作品にまた出られるというのが個人的にめちゃくちゃ嬉しくて。一番初期のころの僕を見てくれている数少ない人でした。河村さんにまた会えて、衣装合わせのときに「背デカくなったな」と言われて。その一言で、2〜3年だけど、僕を見てきてくれた人だというのを感じました。それがすごく嬉しかったのをめちゃくちゃ覚えていて、今でも忘れられないです。自分の信頼できる人とか、自分の好きな人の作品だから特別頑張るってわけではないんですけど、すごくやる気は出たし。藤井さんのやり方も楽しみだったし、実際にやってみて、今でも藤井さんからの忘れられない言葉もあります。そういうのがあるのはすごく良い経験だし、今でも活きていることなので、幸せですよね。
ーーその“忘れられない言葉”とは?
奥平:あまり具体的なことは言えないんですけど、クランクアップのときに藤井さんと2人で話していたときがあって。ちょうどその頃、いろんな新人賞をいただいて、すごくありがたいなと思っていたんですけど、自分の物差しと周りの物差しのギャップの差をすごく感じていて。求められているものに対して、僕は応えられている感覚がなかったんです。だから一度、自分ができてないところをちゃんと言ってくれる人に会いたいなと思っていたんですよね。藤井さんが最後に「良かったよ。だけどこういうところとかできるようになったらもっと良くなると思う」と前向きに言ってくれて。そういうことを言ってもらえたのが、お芝居を始めてから初めてのことだったので、めちゃくちゃ嬉しくて。それは今でも忘れられないし、毎回現場で思い出しています。
自分を投影した役を演じ終えて
ーー優は藤井監督と横浜さんが投影された役で、お二人の迷いや恐れが反映されているそうですね。優を演じ切ったことで、実際の迷いや恐れの部分で変化したことはありましたか?
横浜:いや、変わらずですね。
ーー昇華された気持ちはない?
横浜:優は優として生き切ったというのはありますけど、僕が役者をやっていての迷いや恐れを優に取り入れて、その転落しきるところまでをやっているので、自分としては、より違った意味での恐さが増しています。違う世界線で味わっているというか。本当に何か1つ僕らは失敗を冒したら転落していくだけなので、その失敗すらも僕らは許されない世界にいて……より恐くはなっていますね。
ーー役を演じ終えての思いはいかがですか?
横浜:演出で「能面のように」と言われることが多くて。藤井さんは本当に難しいことを言うなって。でもわかるんです。優はずっと感情を捨てて、ゾンビのように過ごしていて、笑うということを忘れているような人間なので。それが美咲とかと出会って少しずつ人間になっていく。笑いたいんだけど笑えないというか。能の面って、笑っているようにも泣いてるようにも見えて。そういうことを表情でも表したいと言っていました。それは僕自身がやっていても、この作品を通して今まで出会ったことのない感情に出会えたし、それを引き出してくれたのは藤井監督でした。そこは今回の新しい発見でしたし、学びでした。
ーー奥平さんから見て、優が抱える不安をどう感じましたか?
奥平:なんだろう……。撮っていたときと映画を観たあとだと、感じることが違いました。僕は勝手に優くんに対して、僕と作間(龍斗)くん演じる恵一が、対比になっているのかなと思っていて。龍太と恵一は同じところで働いていて、同じ歳くらいで、でも全く違う結末になっていく。その2人もまた、優くんの別の道を映したかのような人間に見えたんです。演じているときは恵一も優くんも龍太とは別の人間だと思っていたし、2人とも同じ人生の岐路にいたとかは思っていなくて。改めてちゃんと観たときにそう見えてきて、ちょっと怖かったですし、食らいましたね。
■公開情報
『ヴィレッジ』
全国公開中
出演:横浜流星、黒木華、一ノ瀬ワタル、奥平大兼、作間龍斗(HiHi Jets)、淵上泰史、戸田昌宏、矢島健一、杉本哲太、西田尚美、木野花、中村獅童、古田新太
監督・脚本:藤井道人
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
制作プロダクション:スターサンズ
配給:KADOKAWA、スターサンズ
©︎2023「ヴィレッジ」製作委員会
公式Twitter:@village_moviejp
公式Instagram:@village_moviejp
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