『水星の魔女』“編入生”の登場で早くも不穏な空気が漂う ニカの葛藤に隠された真意は?

『水星の魔女』S2で早くも不穏な空気

※本稿には『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第13話までのネタバレが含まれます。

 衝撃のラストから約3カ月……ついに『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2が4月9日からスタートした。ベネリットグループの巨大開発施設であるプラント・クエタの襲撃が描かれたSeason1のラストから、どのように物語を繋いでいくのかが多くのファンの関心だったが、第13話「大地からの使者」では予想に反して本作らしい学園のシチュエーションから幕を開けた。

 すでに周知の通り、同作はこれまでの『ガンダム』シリーズとは一線を画する学園アニメとして大きな反響を呼んでいる。主人公であるスレッタが学園の頂点に立つ御三家と決闘し地位を高めていくという王道展開は、これまでのシリーズにはなかったものだ。過去作にあった少々難解なストーリー展開も、本作は至ってシンプルな作りになっており、誰でも楽しめる間口の広さは本作の特徴と言えるだろう。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2 予告PV

 第10話「巡る思い」で突如としてフォルドの夜明けが登場し、学園アニメ的な展開から一転して、『ガンダム』シリーズらしい宇宙を舞台にした宇宙戦争の様相を呈していたSeason1。第12話「逃げ出すよりも進むことを」の最後でスレッタがミオリネの前でとった行動は、Season2に向けて暗雲が垂れ込めるものだった。Season1を観た段階ではスレッタとエリクトの関係性、グエルの行方、ニカとフォルドの夜明けのつながりなど様々な謎が散りばめられていたが、これらはSeason2で明らかになるのだろうか。

『水星の魔女』Season1にあった池井戸潤作品的面白さ 捨てないでほしい“ビジネス”描写

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のSeason2が、4月9日からスタートする。  本作は、MS(モビルスーツ)と呼ばれる巨大ロ…

 プラント・クエタ襲撃事件から2週間後のアスティカシア高等専門学園。そこでは以前と変わらずに決闘を行う学生の姿があった。ホルダーであるスレッタは連戦をもろともせずに、勝利を重ねていく。サビーナが「不気味なモビルスーツだ」と語っているように、スレッタとエアリアルの強さは他のモビルスーツとは別格。他の学生から蔑まれながらも、スレッタは徐々に学園内での存在感を大きくしていることが伺える描写だ。

 その後、オープンキャンパスに向けて賑わう学園が映し出される。そこにあるのはただの平穏。スレッタら地球寮のメンバーには事件についての箝口令が敷かれており、他者に口伝えできないようになっていた。こうして序盤に長い時間を割いて日常描写を描き出すことで、プラント・クエタ襲撃事件の悲惨な現実を違和感として強調することに成功していた。あれだけの人が死んでおいて、学園ではいつもと変わらない日常が繰り広げられているのはなんとも不気味だ。

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