『らんまん』広末涼子と森優理斗の最後のやり取りが心を打つ 万太郎の原点となった望み
時は経ち、春。神社の境内にはヒサの好きな花が咲いている。寝転び愛でるようにして花を観察する万太郎に、ヒサが声をかける。見えなくてもちゃんと根を張って、命の力に満ちている。それは万太郎も、と。演出として素晴らしいのはヒサの死を悲しみではなく、出来うる限り明るく前向きに描いたことだ。先述したナレーションによって視聴者は前もって死を覚悟しながら、ヒサの慈悲深い笑顔が最後の印象として残る。見えなくなっただけでヒサは万太郎のことを見守っているのだと。
第2週からは万太郎は9歳となり演じる役者も小林優仁にバトンタッチとなるため、森優理斗の出番もこれがおそらくラスト。ヒサの姿に涙を拭う仕草もあるが、それよりも真っ直ぐな瞳の輝きが記憶として上回っていく。視線の先にいるのは、生き方を教えてくれた“天狗”こと坂本龍馬(ディーン・フジオカ)。「さぁ、望みや! おまんは何がしたいがぜ?」の問いかけに、万太郎は答える。「わしはこの花の名前が知りたい!」と。
その花の名前は「バイカオウレン」。花言葉は「情熱」。江戸、明治、大正、昭和を植物と共に生きた万太郎の物語が幕を開けた。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK