『らんまん』ディーン・フジオカの龍馬は朝の希望の光に? “五代様”に続くハマり役の予感

ディーン・フジオカの竜馬は朝の希望の光に?

 天才芸術家が“アート”で表現したかのような整った顔・美しいスタイル、国民的俳優として第一線で活躍しながらアーティストとしても大人気、ギターも弾けて歌声も魅力的、これにくわえて日本語・英語・中国語などを扱うマルチリンガル、日本のみならず世界でも活動、それでいておちゃめな一面も……。

 まるで、ヒロインが憧れる漫画の主人公のようなスペックを持つディーン・フジオカ。もう「ディーン・フジオカに捨てるところなし」とことわざが出来てもいいくらい、隙が見当たらない彼の“輝く場所”のひとつが役者業だ。

 ディーンは、香港、台北など、海外に拠点を置いたあと、日本でも本格的に活動をスタート。朝の連続テレビ小説『あさが来た』(2015年)の"五代様"で大ブレイクを果たした。その後も、2018年放送の『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系)、のちに映画化もされた2019年放送の『シャーロック』(フジテレビ系)シリーズ、科学が巻き起こす事件を解決していく『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』(日本テレビ×Hulu/2022年)シリーズなど、多くの作品で主演を務めている。

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 こう振り返ってみると、ビジュアル、演技力、バックボーンなど鑑みても、ディーンにしかできない役柄ばかりで「おディーン様はこうじゃなきゃ!」を体現してきたように思う。ただ、2023年1月期、どこか潜在的にあったイメージをぶち壊される作品に出会った。

 吉高由里子主演『星降る夜に』(テレビ朝日系)だ。ディーンは、雪宮鈴(吉高由里子)が働く「マロニエ産婦人科医院」の同僚医師・佐々木深夜を演じた。白衣を着て颯爽と院内を歩く彼に誰もが見惚れる。

 だが、それはビジュアルの話。医師と言えば「エリート」という印象があるが、深夜はまったくの正反対だった……。45歳で医師になった異色の経歴を持つ彼は、一言で言うとポンコツ。院内で豪快に転んだり、白衣を裏返しに着ていたり、テンパるときは、それはもうとんでもなくテンパる。深夜には笑わせてもらったし、ほっこりさせてもらったし、行動一つひとつが愛くるしくて仕方がなかった。

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 何より、このドジっ子な深夜をディーンが演じることに驚いた。彼の作品をすべて観ているわけではないので、一概には言えないが「こんなユニークな役もやってのけちゃうんだ!」と思った。

 ただ、これは「表面」の深夜。物語が進むにつれて、彼の過去や苦しみが明らかに。なぜ深夜は医師になったのか、なぜあんなにも“人に寄り添えるのか”が判明していく。ディーンが「深夜の“抱えていたもの”すらも背負って第1話から演じていた」と思ったらゾッとした。同じ作品で、まったく違う顔を見せた深夜に、不自然さがまるでなかったのだ。

 最終話を見終えたあと、違和感を覚えていた深夜の“どこか寂しそうな表情”や心の機微みたいなものの正体に触れてストンと腑に落ちたし、「そうか。だからディーン・フジオカじゃなきゃダメだったのか」と思った記憶すらある。

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