『星降る夜に』が描いた“死と隣り合わせの生” 鈴と一星が抱きしめた人生の痛み

『星降る夜に』が描く“死と隣り合わせの生”

 喪失感も理不尽な出来事も乗り越える必要なんてない。でもそんな渦中にそっと自分の背中に手を置きさすってくれる人がいるだけで、その事実は変わらなくとも、手から伝わる熱を頼りに“まだ生きていられる”と思える。1人では泣けなくても、思いっきり涙することもできるかもしれない。“この人の前でなら泣いてもいい”と心許せる居場所があることは人を強くする。悲しみや痛みを抱えながら、その全てを打ち明けなくとも誰かと一緒に生きていくことだってできる。“可哀想に”という同情の一言は、相手のことをいつまでも“可哀想”な存在として閉じ込めてしまうばかりか暗に線引きをしてしまうもの。しかし、それよりもその痛みや醜い嫉妬心や恨みごと全部ひっくるめて抱きしめられたならば人は何度でも生き直せる、生まれ変われる。一星が言った通り、憎しみは簡単には消えないが抱きしめたら恐怖は消え、そこに残ったのは人と人だった。

 伴(ムロツヨシ)と一星、深夜、春(千葉雄大)が一列に並んで銭湯で湯に浸かる姿に、“人生捨てたもんじゃない”と思わされた。自分を脅かす相手のことまで「あの人もここに一緒にいられたら良かったのかも」なんて思えたら、もっともっと自分を、周囲を、そして人生を愛せることだろう。

■配信情報
『星降る夜に』
TVer、TELASAにて配信中
出演:吉高由里子、北村匠海、ディーン・フジオカ、千葉雄大、猫背椿、長井短、中村里帆、吉柳咲良、駒木根葵汰、若林拓也、宮澤美保、ドロンズ石本、五十嵐由美子、寺澤英弥、光石研、水野美紀
脚本:大石静
監督:深川栄洋、山本大輔
ゼネラルプロデューサー:服部宣之
プロデューサー:貴島彩理、本郷達也
音楽:得田真裕
制作:テレビ朝日、MMJ
©︎テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/hoshifuru_yoruni/
公式Twitter:@Hoshifuru_ex
公式Instagram:@hoshifuru_ex

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