『スタンドUPスタート』義知の乗っ取り計画が本格化 戸次重幸が“右腕役”として好演

『スタンドUPスタート』右腕役の戸次重幸

 いよいよ叔父で副社長の義知(反町隆史)の乗っ取り計画が本格化した『スタンドUPスタート』(フジテレビ系)第8話。

 義知は三ツ星重工の社長・大海(小泉孝太郎)を陥れるために、まずは彼を長らく支えてきた社長室長・高島(戸次重幸)からそのポジションを奪い、追い出そうとする。元経産省エネルギー庁長官の篠田博康(岩城滉一)を取締役兼社長室長として迎え入れるよう計らい、そのため大海は高島を室長補佐のポジションに異動させる。周囲から誤解されやすい大海の良き理解者であり、特殊な三星兄弟の関係性を温かく見守り、必要あれば時として彼らの架け橋になってきた高島。自称“人間投資家”の大陽(竜星涼)と大海の間にある深い絆についてもしっかり見抜いており、また2人が手を取り合うことを心の底から願っている。そして大陽ともいまだ接点があり、自身の前職の元上司・轟彰(佐野史郎)の再就職先を探してほしいと依頼するほどの面倒見の良さ、義理堅さを見せる。

 そんな高島役を演じる戸次重幸は朝ドラ『ちむどんどん』(NHK総合)では、東京からやんばる地方に研究旅行にやって来た民俗学者・青柳史彦役を好演。異なる文化を尊重し、違いを面白がることのできる知的好奇心や受容力が光る役どころだった。『ファイトソング』(TBS系)では、児童養護施設で育った主人公らを近くで見守る近所の理髪店店長・迫智也役を演じ、優しさと人間臭さを滲ませた。いずれも相手と壁を感じさせず、本質を見抜き、気がつけばそっと傍らにいてくれるような抜群の安心感のあるキャラクターで、どれだけ強い衝撃を与えられてもそっと吸収してくれる緩衝材のような役回りを担っていた。強そうに見えて実は脆く壊れやすいものをさっと守り、より際立たせてくれるような存在感がある。本作でも性悪説に基づいて人を判断する大海のその裏にある真意を汲み取る、信頼できる右腕役が実によく似合っている。 

 第8話では、突然大海から室長補佐への降格を言い渡され篠田にどんどん仕事を奪われていく高島のやるせなさや焦燥感、なかなか理想通りの再就職先が見つからず自身の存在意義が揺らぎ始める轟の危機感が痛いほど伝わってきた。轟から音野奈緒(安達祐実)への態度やあまりに凝り固まった固定概念を目の当たりにすればするほど、そのあまりにアップデートされていない彼の常識には辟易してしまう。しかし、自分で自分を窮屈にしてしまっている染み付いた職業観や職業人としての矜恃、家族観から抜け出し解放されるところが観られ安堵した。同じく突然自身の居場所がなくなった高島が言う「良いことも悪いこともあったってだけなんです。無駄だったことなんて一つもない」という言葉に救われる思いがする人も少なくないだろう。

 そうやって再び手繰り寄せた“社長から最も近い場所”で再起を果たした高島と大海は、これから黒幕である義知とどう対峙していくのか。義知が大海を失脚させようとしている裏には、どうやら大海と大陽の父で前社長の三星匡邦(大友康平)との確執があったようだ。匡邦との間に何があったのか。義和が抱える闇もそろそろ明かされそうだ。

■放送情報
『スタンドUPスタート』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:竜星涼、小泉孝太郎、吉野北人(THE RAMPAGE)、小手伸也、山下美月(乃木坂46)、水沢林太郎、雨宮天、塚地武雅、安達祐実、戸次重幸、鈴木浩介、高橋克実、反町隆史ほか
原作:『スタンドUPスタート』福田秀(集英社『週刊ヤングジャンプ』連載)
監修:上野 豪(DRONE PILOT AGENCY株式会社 代表取締役)
脚本:モラル、伊達さん(大人のカフェ)
音楽:瀬川英史
主題歌:JUJU「Bet On Me」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
企画:狩野雄太
プロデューサー:清家優輝、庄島智之
演出:瑠東東一郎、久万真路、的場政行、松下敏也
制作協力:ファインエンターテイメント
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/stand_up_start/
公式Twitter:https://twitter.com/stand_up_start
公式Instagram:https://www.instagram.com/standupstart_fujitv/

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