『Get Ready!』沢村一樹が最強の敵として登場 闇医者という矛盾に満ちた存在をどう見るか

『Get Ready!』最強の敵・沢村一樹

 闇医者という矛盾に満ちた存在をどう見るかは、本作の核心を衝く問いかけだ。法律の外にあるものを許されないものと考えるか、あるいはそこに何らかの意味を見出すか。仮面ドクターズの原点であるエースとジョーカー、また2人を追う高城の視線を通じて、問題の所在が浮き彫りになった。もし闇医者が現実にいたなら、おそらくこれと近い葛藤を抱くはずだ。

 エースが剣持に復讐を果たしたのは、かつての自分を救うためだった。13年前、絶望のどん底にいた天野は、下山田と出会い、自らの生きる場所を見つけた。生き延びる価値を問いながらメスを振るう中で、本当に救わなければならないのは自分自身だと気付いたに違いない。時が満ちて、因縁の相手と再会したエースにとって、玲於奈の手術は是が非でもやらなくてはならないものだった。

 時間がすべてを解決するわけではない。時がたっても癒せない痛みはあり、メスを入れることで蝕まれた過去が本来の姿を取り戻すこともある。エースの痛みを誰よりも理解するジョーカーだからこそ、復讐を遂げたエースを受け入れることができたのだろう。

 高城のバックには副総理の羽場(伊武雅刀)がいて、第1話で命を選別された(手術を受けられなかった)側の羽場は、仮面ドクターズを相当恨んでいる様子である。分裂状態の闇医者チームは何重にも重なったピンチをどう乗り切るのか。『Get Ready!』の最終着地点を見届けたい。

■放送情報
日曜劇場『Get Ready!』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:妻夫木聡、松下奈緒、日向亘、一ノ瀬颯、三石琴乃、橋本マナミ、當真あみ、結城モエ、中山麻聖、田野倉雄太、長見玲亜、矢島健一、片山友希、菅原卓磨、吉田涼哉、川本光貴、伊武雅刀、鹿賀丈史、藤原竜也
演出:堤幸彦、武藤淳、山本剛義
脚本:飯野陽子、山田能龍、川邊優子、金沢知樹、渡辺啓
プロデュース: 武藤淳、植田博樹、鈴木佳那子、市山竜次、佐井大紀
音楽:ノグチリョウ
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/getready_tbs/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる