『舞いあがれ!』“安心・安定”の山口紗弥加 舞=福原遥に大きな影響をもたらす人物に

『舞いあがれ!』山口紗弥加の安心感の理由

 最終回まで残すところあと1カ月を切った朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK総合)が、いま次なる盛り上がりに向かっている。そう、山口紗弥加が演じる御園純が、ここにきてヒロイン・舞(福原遥)のビジネスパートナーになったのだ。世の中なにが起こるか分からない時代。それはドラマの中だって同じことで、登場人物たちが生きている以上、ずっと安心して観ていられるわけではない。けれどもいまの本作における山口の存在には、安心して期待をかけてしまう。

 山口が演じる御園とは、大手新聞社の大阪支社に、東京から転勤してきた新聞記者だ。舞たちが働く「IWAKURA」に取材で訪れ、舞やその母・めぐみ(永作博美)らをはじめとする女性たちの功績を取り上げ、その活躍ぶりを世に伝えた。「IWAKURA」のさらなる発展に一役買った存在なのだ。それ以降、彼女は舞と交流を深め、いつしか良き相談相手ともなっていた。しかし、そんな御園が部署を異動することに。場合によっては退場か、一気に出番が減るのではないかと思われた。一抹の寂しさを覚えたのは筆者だけではないだろう。彼女の存在は舞や「IWAKURA」の面々、そして私たち視聴者にとって、非常に大きなものになっていたのだ。ところがその御園から、舞に「起業」の提案が。東大阪の町工場の技術をマッチングさせる事業を起こしてみてはどうかというのだ。しかも、もしも舞がその道に進むのならば、彼女も行動をともにするというのである。

 ここにきて、またも胸が熱くなる新展開。舞に起業を促すのも面白いが、何より彼女たちが二人三脚を組もうというのが興味深い。新聞記者としての御園の仕事は「IWAKURA」の女性陣をエンパワーメントするもので、所属する従業員たちとは異なる立ち位置からこのネジ工場を支えるものだった。演じる山口は、発声も一挙一動もパワフルでエネルギッシュ。観ているこちらまで気持ちが良くなる快活さで、初登場時から肩で風を切って歩くようなキャラクター像を一瞬にしてこのドラマの世界観の中に立ち上げてみせた。声にしろ所作にしろ安定感があり、それは舞にとって、ひいては本作にとって、追い風になるものだっただろう。

 とはいえ、そんな山口が演じる御園が自ら舞に「パートナーになりたい」と申し出るまでは、ヒロインに助言をする程度のサブキャラクターに過ぎないものだと思っていた。つまり、舞の人生を通り過ぎていく“印象的な登場人物の一人”に過ぎないのだと。だからいまのこの展開には、多くの視聴者が驚いているのではないかと思う。途中参加なうえ、初登場から1カ月も経たぬうちに超重要人物になっているのだから。山口に対する製作陣の期待と信頼度の大きさがうかがえるというものである。

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