『舞いあがれ!』大ちゃん陽菜ちゃんの会話に込めたものとは? CPが明かす言葉の大切さ

『舞いあがれ!』CPが明かす言葉への願い

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第105話で、「大ちゃん」こと広田大樹(中須翔真)と「陽菜ちゃん」こと根岸陽菜(徳網まゆ)の物語が描かれた。

 貴司(赤楚衛二)がデラシネの店主になって以降、かつての舞(福原遥)、貴司、久留美(山下美月)のように店を秘密基地にしている、仲良しの大ちゃんと陽菜ちゃん。独創的な自分だけの絵を描く大ちゃんに、陽菜ちゃんは舞と貴司の関係が早くから気になっていた少しおませな女の子だ。

 中学校に進学した2人。ある日、大ちゃんがクラスメートにスケッチブックを見られ、「キモい」と中傷されてしまう。そこで陽菜ちゃんも周りに合わせる形で大ちゃんに「キモい」と思ってもない言葉をぶつけてしまっていた。合わせる顔がない陽菜ちゃんだったが、貴司のアドバイスもあり、デラシネにいる大ちゃんに「ほんまはキモいなんて思ったことない。これからも思わへん」と謝罪。それに大ちゃんは「もうええよ。変わってもええと思うで。けど、ありがとう」と返事をし、陽菜ちゃんとの仲はまたゆっくりと戻っていく。

 何気ない日常のなかの短いエピソードではあるが、「ヤバイ」「かわいい」「キモい」だけを言っていれば同級生との会話が成り立つという陽菜ちゃんが貴司に投げかける「言葉ってさ、こんなにいっぱいいらんくない?」のセリフからは、脚本を務める桑原亮子の若者言葉へのアンチテーゼのようなメッセージ性を感じさせる。

 また、中学に上がり服装が少しずつ大人びてきている陽菜ちゃんに大ちゃんが言う「変わってもええと思うで。けど、ありがとう」というセリフからは、人は変わることもあるし、時には周りに流されてしまうこともきっとあるけれど、自分をしっかりと持っていてほしいというような大ちゃんを介しての桑原の思いのようにも感じ取れる。

 制作統括の熊野律時は、桑原が『舞いあがれ!』を通じてここまで描かれてきている「自分の思いを言葉にして伝えることの大切さ」が、大ちゃんと陽菜ちゃんのエピソードにも込められていると話す。陽菜ちゃんが大ちゃんに「キモい」と軽はずみな一言を言ってしまったのは、クラスメートとの間の同調圧力がきっとある。自分の気持ちに素直になることができない、窮屈で息苦しい空気は、現代ではSNSに広がっているとも言えるだろう。

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