『鬼滅の刃』LiSAとAimerが紡いできた“叫び” 「刀鍛冶の里編」主題歌は命の重さが宿る

『鬼滅の刃』LiSAとAimerの“叫び”

 音柱の宇髄天元に連れられ、吉原遊廓を訪れることになった炭治郎、善逸、伊之助の3人。そこでまたしても彼らは上弦の鬼である兄・妓夫太郎と妹・堕姫と遭遇する。無限列車では煉󠄁獄に守られていた炭治郎たちは、妓夫太郎、堕姫との戦いで上弦の鬼の強さを実感することに。柱である宇髄ですら瀕死の状態になり、炭治郎はかつてないピンチに追い込まれるのだが、観ている者を絶望させず、むしろ奮い立たせてくれるのがAimerが歌う「残響散歌」だ。Aimerの楽曲を多数手がける飛内将大が作曲した疾走感溢れるメロディに、「派手」「音」といった宇髄を彷彿とさせるワードが並べながら、この曲は何度打ちのめされようとも限界を超えていく剣士たちの精神を反映する。歌手の命である喉を痛め、声が出なくなった経験を経て手に入れたAimerのハスキーボイスも楽曲とストーリーの親和性を高めた。

Aimer「残響散歌」MUSIC VIDEO(テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編オープニングテーマ)

 そして、上弦の鬼との戦いで生き残った炭治郎の新たな物語が始まる。第3期「刀鍛冶の里編」は、剣士たちにとって欠かせない刀を打ってくれる職人たちが集う里が舞台。そこで炭治郎が出会うのは名刀づくりに命をかける刀鍛冶たち、そして霞柱の時透無一郎と恋柱の甘露寺蜜璃である。刀をつくる者と、その刀で鬼を狩る者。役割は違えど、彼らが共にする志をMAN WITH A MISSIONとmiletの2組によるコラボレーション主題歌「絆ノ奇跡」が浮かび上がらせる。

 サウンド面はこれまでの主題歌になく軽快だが、<我が命 果てようとも 繋げて行こう 絆が紡いで生まれた奇跡を>というワンフレーズを見ても、歌う内容は重い。ちなみに若干ネタバレになってしまうが、甘露寺が炭治郎との別れ際、「今度また生きて会えるかわからないけど頑張りましょうね」と声をかけるシーンが本編にある。明るく見える彼女も常にいつ自分が死ぬかわからないという覚悟で任務に挑んでいるのだ。死への恐怖と、生きていることへの喜び。その表裏一体の感情が新たな主題歌には詰まっている。

 ぜひ4月にスタートするTVアニメに先立ち、今回の映画でこれまでの物語を総復習してほしい。

テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編 第1弾PV

■公開情報
『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』
全国公開中
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン:小山将治
美術監督:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記、椎名豪
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス
出演:花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、小西克幸、河西健吾、花澤香菜、関俊彦、置鮎龍太郎、宮野真守、石田彰、古川登志夫、鳥海浩輔、沢城みゆき、逢坂良太
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
公式サイト:https://kimetsu.com/anime/
公式Twitter:https://twitter.com/kimetsu_off

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