『鬼滅の刃』童磨役で宮野真守の真価が発揮される 二面性のある“狂キャラ”で光る持ち味

『鬼滅の刃』童磨役で宮野真守の真価が発揮

 大ヒットアニメ『鬼滅の刃』のTVシリーズ第3期の放送に先駆けて、『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』が公開中だ。『鬼滅』ならではの色彩豊かなアクションシーンが劇場で楽しめることに加えて、「刀鍛冶の里編」から上弦の鬼として出演する豪華声優陣にも注目が集まっている。その中でも数多くのファンからハマり役との声を背負い、満を時して登場したのが、宮野真守演じる上弦の弐・童磨(どうま)だ。

制作スタッフも声優も“全集中”で臨むこそのクオリティ 『鬼滅の刃』を劇場で観る価値とは

ワールドツアー上映『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』の劇場公開が始まっているアニメ『鬼滅の刃』。劇場では『遊郭編』の第…

 本作での短い登場シーンの中でも、上弦の参・猗窩座(あかざ)との会話シーンが印象に残る。一触即発の空気の中で、優しく穏やかに話を続ける童磨からは、どこか闇の匂いがした。しかしそれもそのはず、『遊郭編』にて、童磨は堕姫(だき)と妓夫太郎(ぎゅうたろう)を鬼の世界へと誘い、人の生首を抱えながら堂々と往来を闊歩するという猟奇的な姿を晒している。

 その優しそうな笑顔や話し方と、瞳の奥に潜む歪んだ狂気のアンバランスさをより一層引き立てるのが宮野の演技である。宮野は二面性を持つキャラクターを演じたときに、もっとも真価を発揮するからだ。

 過去には『Free!』や『うたの☆プリンスさまっ♪』でイケメンキャラを演じたり、『文豪ストレイドッグス』や『妖狐×僕SS』では飄々とした掴み所のないキャラクターを演じてきた。そんな宮野が初めて内に狂気を秘めたキャラを演じたのは、『DEATH NOTE -デスノート-』の夜神月だ。

 夜神月は、容姿端麗、頭脳明晰なハイスペック男子。しかし何不自由のない世界に退屈し、デスノートを手にしたことにより、一般人の仮面を被りながらも殺人鬼としての一面を持つようになる。デスノートとの出会いによって徐々に歪んでいく月の正義感を、宮野の声の演技が細かく描写する。

 宮野の出世作とも呼ばれる本作では、セリフだけでなく絶望の滲むような叫びや狂った高笑いの表現から、宮野の演技を臨場感たっぷりに楽しむことができる。特に最終回では、劣勢に陥った月の罵声や狼狽える表情に合わせた息遣い、クルクルと内面が移り変わるまさに半狂乱に陥った人間の演技に、目が離せなくなる。少しずつ緩んだネジが完全に外れるかのような、シリーズを通して蓄積する狂気を帯びた声の雰囲気とその解放に、宮野の“本気”が込められている。宮野自身がキャラクターと一体化したかのような鬼気迫る演技の迫力が、ファンからも絶賛されている。

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