『相棒』“善人”の味方であり続ける右京と亀山 『ヴェニスの商人』の一節が切なく響く

『相棒』『ヴェニスの商人』の巧みな引用

「そう、確かに、見かけと中身とは、往々にして似ても似つかぬ。人はいつでも、見た目の美しさに、つい欺かれるもの」

 これはシェイクスピアの戯曲『ヴェニスの商人』の一節だ。2月22日放送の『相棒 season21』(テレビ朝日系)の第18話は、高校の演劇部で『ヴェニスの商人』を演じた4人の物語。『ヴェニスの商人』は喜劇だが、大人になった4人には、悲しい結末が待っていた。

 ある日、裏カジノ運営疑惑のあるイベント会社社長の保科(鈴木信二)が刺殺される事件が発生。右京(水谷豊)と亀山(寺脇康文)の聞き込みでは、被害者が死の直前、「呪いのビデオを観た」と言っていたことが分かる。ビデオには、髪の長い、赤いコートを着た男が映っていたという。亡霊に呪い殺されたとも言える事件に、右京は興味津々。いつもより積極的に捜査を進めていく。

 現場を調べると、小桜千明(一ノ瀬ワタル)という俳優の自主制作映画のパッケージが不自然に床に落ちていた。さらに右京は、物陰から現場を覗き見る千明に気付く。怪しく思った右京たちが千明のことを調べると、彼は高校時代、演劇部に所属していて、常に仲の良かった4人で行動していたよう。最近になって、千明はそのうちの池田淳(長谷川慎也)という男性とよく会っていることがわかった。そのグループにいた松尾朋香(田中道子)という女性は、なぜか千明から逃げるように行動していて、もう一人の北原陽介(小山悠)という男性は1年前から行方不明になっているという。

 千明は身体も大きく、コワモテで目の前に立たれたら怯んでしまうような男だが元々は優しい性格のよう。まさに「見かけと中身が似ても似つかぬ」人物で、悪役役者として奮闘しているが性格が演技に滲み出てしまうのか、いまいち迫力が出ない。目を掛けられている所属事務所の先輩・藤枝(山口祥行)に励まされては“ショボン”という効果音が聞こえてきそうなほど落ち込んだ顔をしていた。撮影所に突然やってきた淳に慌ててついていく千明の姿も目撃されており、どうやら長年の友人の淳にも強く言えず、振り回されているようだ。

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