『Get Ready!』鶴見辰吾と當真あみが体現した父娘の愛憎劇 妻夫木聡演じるエースの正体も

『Get Ready!』父娘の愛憎劇

 「命の選択」がテーマの本作において、意識がある患者の自由意思を否定するのは他殺の肯定につながる点でチャレンジングであり、かろうじて親子という補助線を引くことでドラマの設定に取り込むことができる。鶴見辰吾と當真あみはスイーツに代表される味覚を媒介にして、生死を超えた父娘の愛憎を体当たりで演じきった。生き延びるためならケーキだって作るだろうという見方はやや性急だ。嶋崎は生に執着したのではない。自らの過ちに気づき誇れる父親であろうとしたのだが、それは自身をむしばむ毒を解毒するプロセスでもあった。「死をもって償う」と詫びる嶋崎に、生きることが償いだとジョーカーが諭すシーンは有害さの先にある贖罪を示唆していた。

Get Ready!

 これまでご覧になった方はおわかりかと思うが、軽やかなタッチながら『Get Ready!』が取り上げるテーマは重厚だ。この深遠さは往年の名作漫画を想起させる。なお、前話でエースこと波佐間永介はジョーカーが用意した仮の名前であることが明らかになったが、第6話ではエースが医師の天野真一である可能性が濃厚になった。波佐間から天野へ。ブラック・ジャックの本名が間黒男であることを考えると、この変化が闇医者の属性に変化をもたらすか注目である。

■放送情報
日曜劇場『Get Ready!』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:妻夫木聡、松下奈緒、日向亘、一ノ瀬颯、三石琴乃、橋本マナミ、當真あみ、結城モエ、中山麻聖、田野倉雄太、長見玲亜、矢島健一、片山友希、菅原卓磨、吉田涼哉、川本光貴、伊武雅刀、鹿賀丈史、藤原竜也
演出:堤幸彦、武藤淳、山本剛義
脚本:飯野陽子、山田能龍、川邊優子、金沢知樹、渡辺啓
プロデュース: 武藤淳、植田博樹、鈴木佳那子、市山竜次、佐井大紀
音楽:ノグチリョウ
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/getready_tbs/

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