『Get Ready!』鬼才・堤幸彦のトリッキーな演出が炸裂 鈴木亮平のサプライズ出演も
第3話にして変化球。殺人犯と被害者を闇医者チームが追うスクランブルスタートで幕を開けた『Get Ready!』(TBS系)第3話は、演出の堤幸彦による才気爆発の放送回となった。
ビルの一室で壁にもたれる男。右腕を押さえており、その傍らにナイフと血に汚れた衣服がある。どうやら怪我をしているようだ。ラジオから流れる「意識不明の重体」という言葉に首をかしげる。男の名前は安達祐樹(杉本哲太)。逃走中の殺人未遂犯だ。安達が追うのは西口(若林時英)と福本(小野寺晃良)、そして恩田(西山潤)。西口、次いで福本を手にかけた安達は恩田のもとへ向かう。
殺人未遂犯の安達を追うのは警察だけではなかった。“エース”波佐間永介(妻夫木聡)も安達の行方を追っていた。エースは安達が去った後の犯行現場で瀕死の重傷を負った西口と福本に遭遇し、2人を処置。さらに仮面ドクターズを追う警視庁特務捜査課も現場に急行する。目まぐるしく視点を変えながら追走する映像の中で、追い/追われる理由だけが持ち主不明の忘れ物のように宙に浮いていた。
その謎が明かされたのは第3話も半ばにさしかかった頃。安達が恩田たちを探していたのは娘の仇をとるためだった。恩田たちは安達の娘の未来(上野鈴華)を暴行し、生き埋めにして殺害。3人の出所を待って殺害する安達の計画は、恩田の仮釈放によって当初の予定より早く実行に移された。末期の脊髄ガンに冒された安達に手術を行うはずだったエースたちは、姿をくらました安達の逃走ルートを“スペード”白瀬(日向亘)のハッキングで割り出して追跡。ようやく遭遇した安達はまさに今恩田を刺したばかりだった。
命を救うことより誰をなぜ救うかに主眼が置かれている本作は、秘密結社であること、交渉人やハッカーを含むチームが主役である点で医療ドラマとして異色である。『ケイゾク』(TBS系)、『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)、『TRICK』(テレビ朝日系)など名作を多数手がけた堤は、ロケ主体の撮影、臨場感のあるカメラアングル、映像や音声効果の多用など新しい作風をテレビドラマに持ち込んだ人物として知られる。『Get Ready!』第3話は、視聴者をあざむくトリッキーな構成が先の読めない展開をもたらしており、堤らしい驚きと創意あふれる演出がはまっていた。