『Get Ready!』鶴見辰吾と當真あみが体現した父娘の愛憎劇 妻夫木聡演じるエースの正体も

『Get Ready!』父娘の愛憎劇

 2月12日放送の『Get Ready!』(TBS系)第6話は、日曜劇場がターゲットとする男性視聴者、特に子どもを持つ父親には刺さる内容だった。

Get Ready!

 第6話の患者はパティシエの嶋崎(鶴見辰吾)。エース(妻夫木聡)の店の常連客・水面(當真あみ)の父である嶋崎は、糖尿病性ケトアシドーシスで余命3カ月から半年と診断された。患者候補としてリストアップされた嶋崎について、エースは追加調査を依頼する。水面を知るエースは水面の首にあるあざが気にかかった。クイーン(松下奈緒)の報告で水面が嶋崎から日常的にDVを受けていることを知ったエースたちは、手術と引き換えに嶋崎にある条件を持ちかける。

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 トキシック・マスキュリニティという言葉がある。近年急速に浸透している概念で、有害な男らしさを意味し、フェミニズムの文脈で用いられることが多い。社会的に成功した嶋崎は事故で右手が麻痺し、パティシエの仕事ができなくなった。余命宣告を受けてからはさらに自暴自棄になり、水面に暴力をふるうようになった。男手一つで水面を育ててきた嶋崎は優しい父親だったが、病気によって人格が変わった。水面への心ない言動は弱さの表れであると同時に、嶋崎の中にある男性優位の考え方も示している。

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 嶋崎は病室に現れた仮面ドクターズのジョーカー(藤原竜也)に「私なしで生きていけるわけがない」と水面について話す。自身も親であるジョーカーは仮面を外し、ということは本音で「あんたそれ本気で言ってるのか?」と笑いながら、「あの子がお前の暴力にどれだけ苦しんできたと思ってるんだ」とたしなめる。別の場面で父から暴力を受けていることを打ち明けた水面に、クイーンこと沙姫は自身も暴力の被害者だったことを明かし、「理不尽な暴力からは逃げるのが一番」「エスカレートして取り返しがつかなくなってからでは遅い」と深刻化しないうちに対処する必要性を説いた。

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 旧来の価値観をアップデートする意志が感じられた第6回で、とりわけ強烈なインパクトを放ったのが水面の選択だ。嶋崎の手術を行うべきかの選択をエースは水面の手にゆだねる。「その傷を負わせたやつを生かすか、暴力の苦しみから解放されるか、お前が選択しろ」。困難な選択に思われたが、決断に時間はかからなかった。水面の口をついて出たのは変わり果てた父親への断罪であり、「私の父はもういません。このままでいい」と嶋崎を見殺しにすることを選ぶ。

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