『ブラッシュアップライフ』麻美の“見返りのない愛”が尊い たっぷりなメタ的要素も

『ブラッシュアップライフ』の見返りのない愛

 私は、他人のためにこんなに必死になれるだろうか。『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)で、孤軍奮闘している麻美(安藤サクラ)を観ながら、ふと自分の心に問いかける。

 これまで、麻美がやってきたことは、正直なところ誰に感謝をされるわけでもない。たとえば、麻美が必死に冤罪を回避してあげたおかげで、社会的地位を失わずにすんだミタコング(鈴木浩介)に、「あなたは私がいなかったら、痴漢の冤罪をかけられていたんですよ」と言ったって、絶対に信じてもらえない。感謝をされるどころか、「ふざけたことを言うな!」とキレられていただろう。元カレ・田邊(松坂桃李)には、「私が別れてやらなかったら、あんたはギャンブルに依存してたんだよ!」と言ってやりたいくらいだが、確実に“ヤバイ女”認定されるだけだ。 

 それでも麻美は、みんなの幸せを守るために必死で走り回っている。もちろん、最初は徳を積むために始めた人助けだったのかもしれない。でも、邪心だけでここまで自分を犠牲にできるだろうか。ただ単に、徳を積むためだけのことなら、わざわざ達成できるかどうかも分からないギャンブルを仕掛ける必要はない。人助けにしたって、もっとラクにできるものもあるはずだ。

 第5話では、玲奈ちゃん(黒木華)の不倫を阻止するために奮闘する麻美の姿が描かれた。玲奈ちゃんと宮岡(野間口徹)が再会したのは、令和の元号が発表された日。麻美はその情報を、2周目の人生で仕入れていた。すると麻美は、2人の出会いの場となった夢庵で朝から張り込み。待っている間、夢庵御前、シャインマスカット、チョコレートパルフェ、ほうれん草のおひたしと大量の料理を平らげていく。ドリンクバーだけで時間を潰してしまうのが申し訳ないと思ってしまうのも、心優しい麻美の“らしさ”が出ていたシーンだった。

 しかし、そこまで頑張ったにもかかわらず、ちょっと目を離した隙に、玲奈ちゃんと宮岡は連絡先を交換してしまう。すると麻美は、宮岡が働いている職場(=2周目の麻美の職場)まで出向き、「彼女に手、出さないでもらえます?」と直談判をしたのだ。ただ、2人の距離が縮まるのはもう少し先だから、宮岡は“まだ”手を出していない。それなのに、忠告をしてくるなんて、明らかに変な奴だし、途中で結婚指輪を外したことを指摘してくる他人って、めちゃくちゃ怖い。

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