夏帆が語るバカリズム脚本の面白さ 『ブラッシュアップライフ』は「役作りしていない」

夏帆が語るバカリズム脚本の面白さ

 2022年後半、夏帆は話題作への出演が相次ぎ、悲哀の感情を抱かせる役で存在感を発揮していた。年が明けるとそうした役柄とはガラリと変わり、バカリズム脚本のドラマで“日常で見かけそうな”33歳の女性を自然体で演じていた。現在放送中の『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)の門倉夏希だ。安藤サクラ演じる麻美と、木南晴夏演じる美穂の仲良し3人組のうちの1人で、3人での会話シーンは思わず「分かる」と頷いてしまうほど自然な空気感を出している。

 直近の作品だけでも演技に大きな振り幅がある夏帆に役作りについて聞くと、「今回は役作りをしていない」との答えが返ってきた。バカリズム脚本の『架空OL日記』(日本テレビ系)にも出演経験のある夏帆に、普段している役作りとバカリズム脚本作品での取り組み方の違い、そして本作が持つ“不思議な魅力”について話を聞いた。【インタビューの最後にはサイン入りチェキプレゼント企画あり】

「(キャラクターは)3人で1つのような印象」

夏帆

ーー夏帆さんは『silent』や『First Love 初恋』など話題作への出演が続いていて、とても注目が集まっている時期だと思います。どちらの役柄も印象的なものでしたが、実際に反響はどうでしたか?

夏帆:自分が想像していた以上に連絡をいただきました。久しぶりな方からも「観てるよ」と連絡をいただいたり、買い物をしていてもお店の方が声をかけてくださったり。それも、皆さんすごい熱量で話しかけてくださることが多くて。それだけしっかりと観ていただけるような作品に自分が参加できていたんだということを、最近身をもって実感していて、嬉しいです。

夏帆

ーー夏帆さんはいつも徹底された役作りと、熱量のある演技をされている印象です。普段から役作りでは何を心がけていますか?

夏帆:『silent』は特に準備が必要な役でした。ただ、作品によって役作りの方法は変わるかもしれないです。自分の中でもどういうふうに役を作っていくのがベストなのかは、作品ごとに探りながらやっています。大体は、脚本を読んでイメージしたものになんとなく近づこうとする。そんな抽象的な感じでいつもやっています。“思い込む”じゃないですけど、自分自身を洗脳するような感じ。ただ、『ブラッシュアップライフ』で言えば、役作りは全然していないんです(笑)。逆に言えば、もしかしたらそれが役作りになるのかもしれないというくらいで。

ーーそうだったんですね。最初に脚本を読んだときの夏希の印象はどうでしたか?

夏帆:それが、「こういう役だな」とはならなかったんです。それこそ『ブラッシュアップライフ』の会見で木南晴夏さんが登場人物たちは“没個性”だとおっしゃっていたのですが、本当にそういう感じで。でも不思議と、出来上がった第1話を観たときに「それぞれの個性がすごく出てる!」と感じたんです。最初に読んだときは「このキャラクターはこういう感じ」ってキャラ分けをしていなかったし、それこそみんな同じ色の衣装を着ていますし。なので、キャラクターが際立っているというよりは、3人で1つのような印象でした。

ーー“よく見かける女の子3人”みたいな感じですか?

夏帆:そうですね。とても等身大な3人だと思いますし、電車に乗ったり外でご飯を食べたりしているときに隣にいそうな3人組というか(笑)。でも、普段から私たちも「自分のキャラクターってこういう感じだよね」みたいに思ったりしないじゃないですか。だから何も気負わずに、現場にフラットな状態でいて、そのまま撮影してる感覚です。

夏帆

ーー個性を前面に出すようなキャラ作りはしない、けれど夏帆さん自身の延長線上でもない、という感じですね。

夏帆:そうなんですよね。それが不思議で、他人になろうと思って演じているわけでもないですし、かといって、素の自分というわけでもなくて。でも、以前『架空OL日記』をやったときもこういう感じで、升野さん(バカリズム)の脚本は毎回そうなんですよね。こういうキャラクターだからこういう喋り方にしようとか、振る舞いをしようとか、そういうものを計算して作ったことはなくて、自然と出来上がってくるんです。逆にカメラが回っていないときの会話も脚本の延長線なんじゃないかと錯覚してしまうくらいで。

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