『カムカム』は時間の物語、『探偵ロマンス』は場所の物語 制作統括&演出に聞く
「『カムカムエヴリバディ』が“時間の物語”だったとすると、『探偵ロマンス』は“場所の物語”にしたいという思いがありました。本作の舞台となる大正時代は大衆文化が花開いた豊かな時代で、昭和や明治とは雰囲気がまったく異なります。加えて、物語上でも重要なポイントとなっているのですが、貧富の差が激しく、今の時代とも似通った空気感があるのではないかと文献を調べていく上で感じました。お金を持っている人がいる空間はとことんゴージャスに、反対に貧しい人たちが住む場所はとことん汚してみたり。場所で表現できるものがたくさんあるなと感じたので、美術チームと連携しながらとことんこだわっています。また、岸部一徳さんが演じている伝兵衛が象徴的ですが、あえてひとつの場所にしかいないキャラクターが本作には多くいます。必ず特定の場所にいる人物たちを複数名配置することで、重層的な表現ができるのではないかと。彼らがそこから動くのか、あるいは物語にどう絡んでくるのか。その点も含めて楽しみにしていただけたらうれしいです。そのほか、かなり細かい部分に江戸川乱歩に縁のあるアイテムやネーミングを配置しているので、そのあたりも発見していただけたら」(安達)
物語冒頭に出てくる“トンネル”。あのトンネルは太郎の脳内を表現しているという。
「あのトンネルは神戸の街中にある古い場所で。ロケハンをしている中で、脳内を表現するのにぴったりだなと。第2話以降も要所で出てきますので注目していただけたら」(安達)
制作チームの熱い思いが詰まった『探偵ロマンス』。第2話以降には、『カムカムエヴリバディ』出演者の市川実日子、上白石萌音が登場することも発表されている。まだまだ視聴者を驚かすさまざまな仕掛けが詰まった作品になりそうだ。
■放送情報
土曜ドラマ『探偵ロマンス』
NHK総合にて、毎週土曜22:00~22:49放送 【全4話】
出演:濱田岳、石橋静河、泉澤祐希、森本慎太郎、世古口凌、本上まなみ、浅香航大、松本若菜、近藤芳正、大友康平、岸部一徳、尾上菊之助、草刈正雄ほか
脚本:坪田文
音楽・主題歌:大橋トリオ
制作統括:櫻井賢
プロデューサー:葛西勇也
演出:安達もじり、大嶋慧介
撮影場所:京都東映撮影所、関西近郊ロケほか
写真提供=NHK