“藤原竜也”というジャンルを成り立たせる説得力 鮮烈なデビューから『Get Ready!』まで

“藤原竜也”の演技の説得力を紐解く

 藤原の出演作は小説・漫画の実写化が多い。原作ものは思い入れの強いファンからの批判を受けやすいものだが、藤原が演じるキャラクターはどれも高評価を得ている。「夜神月は藤原竜也じゃない」「カイジは藤原竜也じゃない」と公開前は懐疑的な声があっても、作品を観た観客が「この役は、藤原竜也以外ありえない」と思ってしまう説得力がある。

 藤原の役作りは、いわゆる憑依型とは違う。例えば、『デスノート』で藤原扮する夜神月と熾烈な頭脳戦を繰り広げるL役を演じた松山ケンイチは、風貌、姿勢、細かな仕草まで完コピして絶賛された。一方の藤原は、原作に寄せるのではなく、役の特徴を取り込んで昇華させる“ストロングスタイル”。モノマネされるような強烈なインパクトを残しながら、その世界に本当に存在しているかのように自然なキャラクターを作り上げる。

藤原竜也はなぜ“ヤバいキャラ”がハマるのか 巧みな人物造形で魅せる演技力

小説に書いたことが現実になる。映画『鳩の撃退法』は俳優・藤原竜也の現在地を知ることができる作品だ。直木賞作家・佐藤正午の代表作を…

 2022年『ノイズ』で再タッグを組んだ際、松山は「やっぱり竜也さんって、昔から他の俳優さんとちょっと違うところがあるんですよね。(中略)その違いをみんな分かっているから、『藤原竜也』というジャンルが出来上がったと思うんですよ。TSUTAYAのレンタルコーナーとかで、『アクション』、『コメディ』、『シリアス』、『藤原竜也』みたいな(笑)」と絶賛した。(※)

 2022年秋は舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に父となったハリー・ポッターとして出演するなど、常に演技の幅を広げ、我々の想像を超えてくる藤原。現在放送中のTBS日曜劇場『Get Ready!』では、天才執刀医のエース・波佐間永介(妻夫木聡)が率いる闇医者チームの交渉役・下山田譲に扮している。表の顔は優秀な国際弁護士という役どころで、第3話までの時点ではドラマの中で最もまともな人物のように見える。エース、凄腕オペナースのクイーン(松下奈緒)と若き万能ハッカーのスペード(日向亘)と、クセもの揃いのメンバーに振り回されるさまは、まるで『ST 赤と白の捜査ファイル』で変人揃いのSTを統括するキャップ・百合根友久警部(岡田将生)のようだ。

 ここから何かのきっかけでいつもの“狂人”に豹変していくのか、それともこのまま新たな境地を見せてくれるのか。

参照

※ https://www.oricon.co.jp/special/58200/

■放送情報
日曜劇場『Get Ready!』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:妻夫木聡、松下奈緒、日向亘、一ノ瀬颯、三石琴乃、橋本マナミ、當真あみ、結城モエ、中山麻聖、田野倉雄太、長見玲亜、矢島健一、片山友希、菅原卓磨、吉田涼哉、川本光貴、伊武雅刀、鹿賀丈史、藤原竜也
演出:堤幸彦、武藤淳、山本剛義
脚本:飯野陽子、山田能龍、川邊優子、金沢知樹、渡辺啓
プロデュース: 武藤淳、植田博樹、鈴木佳那子、市山竜次、佐井大紀
音楽:ノグチリョウ
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/getready_tbs/

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