2023.01.22 08:00

清水くるみ「“カメレオン俳優”と言われるのが嫌だった」　連ドラ初主演の心境を明かす

文・取材＝アナイス（ANAIS）、写真＝はぎひさこ

“インプット”から“アウトプット”へ

ーー最近は『マリー・キュリー』や『FACTORY GIRLS～私が描く物語～』の再演も含め、とにかく舞台でのご活躍が目覚ましいですね。演じる役が増えてきたからこそ感じること、キャリアを始めた当初を振り返って今どのようなお気持ちでしょう？

清水：今もそうですが、以前は“カメレオン俳優”と言われることが多くて、それがありがたいお言葉ではありつつ、心の中では少し嫌だったんです。「あの役も清水くるみだったんだ」って言われるのが、気づいてもらえていない感覚になってしまって。良い意味なのかもしれませんが、作品に溶け込みすぎちゃっているというか……。私は「この人が演じるからこの役になっている」でいいと思うんです。それこそ私に話が来ているものだったり、オーディションで勝ち取ったものだったりするわけじゃないですか。そういう役は私の色に染めちゃえばいい、むしろ役者として「染めたい」と思っていたし、それを目指してきた。だから「絶対にカメレオンって言われないようにするぞ」って頑張ってきたんです。それで最近そう言われることがなくなってきたので、「あ、ようやく自分の色がついてきたな」と思えるようになりました。インプットばかりしていたものをアウトプットできるようになることが、今の目標ですね。

ーーその変化の実感を得たタイミングやきっかけはどんなときだったんですか？

清水：「声が特徴的」と言われることがよくあるんですけど、それを武器にしようと思ったときに“個性”が出せるようになったのかな。どの作品だったかは覚えていませんが、声とキャラクターと台詞まわしを意識し始めました。台詞まわしに関しては舞台が中心ですね。「くるみちゃんってこういう役ばかりやっているよね」でいい気がするんです。それをここ何年間かやってきたので。新しい『マリー・キュリー』では少しこれまでと違うテイストの役ではありますが、そういうものをやっていけたらなと思っています。

ーー逆にその実感を持ちつつ、新たな雰囲気の役柄を演じる上で挑戦的に思うことはありますか？

清水：『マリー・キュリー』に関しては、カテゴライズするのはアレですが、“昔やってた得意分野”系なので、自分が以前持っていたものを強化できたらいいなと感じています。コメディもシリアスな役柄も、演じていてどちらも違う楽しさがある。シリアスの中でも感情を爆発させたりするのが楽しいと思っています。

ーー少し前の自分に立ち返るというイメージもあるのでしょうか？

清水：そうですね。私、基本的に役作りをするときも「これ何年前の自分に似ているな」とか「あの作品でやったキャラクターに似ている」とか、そこにプラスアルファで癖をつけるようにして役作りをするんです。あと、韓国や日本のドラマとかの「あの作品のあのキャラクターにしよう」というふうにすることも多いです。

ーーそれってライブラリが多いからこそできることですよね。

清水：好きなんですよね、ドラマを観るのが。特に韓国ドラマって、何をやるにも感情表現が激しいじゃないですか。だからマネージャーさんに韓国ドラマばかり観ていたときに言われたのが、「（自分もその影響で）感情表現が激しくなっているから良くないときもある」って。でも、引き出しを増やしたいと思っているし、自分で一から構築するのがあまり得意なタイプではないんです。絵を描くにしても、模写は得意だけど自分で最初から描くことは不得意だし。なので、休みの日にたくさん何かを観ることで、そういった引き出しを増やしています。

ーー今回の『親友は悪女』の撮影に挑む前に、そういった形でインプットしたものや参考にされたものはありますか？

清水：真奈役に関しては、10代の頃によくこういう役をやっていたので、ベースはすでに持っていました。ただ、「なんでこんなに裏切られているのにまだ信じるんだよ」と視聴者が思ってしまうような真奈の純粋さが、うざったいものにならないようにするために、“チャーミングさ”は入れたいと考えていました。そこは地味でもチャーミングなヒロインが登場する韓国ドラマが参考になっています。流行っていたNetflix『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』とか。あのキュートさを入れたいと思っていました。

ーーじゃあ休日はよくドラマを観ているんですね。

清水：趣味が韓ドラ鑑賞ですね。最近は全然観られていませんが、今は『ONE PIECE』を全巻買って初めて読んでいます。

ーー漫画もお好きなんですか？

清水：『ONE PIECE』は何で読み始めたかっていうと、Twitterが『ONE PIECE』関連のワードばかりトレンド入りしていたことがあったんです。私は流行りについていきたいからそういうトレンドを見るのも好きなんですけど、それを見たときに用語が全部わからなくて。「これだけ世間が騒いでいるのに、私『ONE PIECE』を一ミリも知らない」と思って今さらかもしれないですが、「これは読まなきゃ」と思ったんです。ちょうどそのときの現場も『ONE PIECE』が好きな人ばかりだったので、「え、読んでないの？　絶対読んだほうがいい」って言われました。若い頃はお金もないし、一巻ごとに買わなければいけなかったり、図書館で借りなきゃいけなかったり、ハードルが高かったですが、今は大人買いをして一気に読んでいます（笑）。少女漫画とかは、感情の引き出しの手助けになったりもするので、もともと結構読んでいました。

ーー『親友は悪女』も電子コミックが原作ですが、そういったアプリコミックも読まれるんですか？

清水：流行っていたら読みますが、基本は紙で読みますね。本もそっちの方が好きです。漫画はやはり表情や感情の答えがあるじゃないですか。悲しいときはこういう顔をするんだ、とか。答えがあること自体が面白くないって人もいますよね。活字だけ読んで想像したいという方も多いと思いますが、私は全部答えがあるのが好きで、今回もそういうふうに読ませていただきました。

ーー普段から自然とインプットするものが多そうですが、それを今度はどのようにアウトプットしていきたいと考えていますか？

清水：たくさんの作品に出たい、というのがあります。小さい役でも一つの役を演じることには変わりがないし、主役とかにはあまりこだわりがなくて。だからとにかくいろんな作品に出て、いろんな役を演じたいし、いろんな人と出会って、一緒にお芝居をしていろんな経験をしたいと思っています。そうすれば、もっと良い作品や良い場所で仕事ができるようになると思うし、そういうふうに毎回ちゃんと自分に目標を作って、インプットも忘れずにアウトプットもしていきたいと考えています。

ーーそのアウトプットの仕方は、舞台は舞台、ドラマはドラマと変わってくるのでしょうか？

清水：舞台は結構やっているし、今年もすでに2作品決まっているので、ここからは映像を頑張っていきたいなとすごく思っています。俳優の仕事も映像から始まりましたが、舞台の方が最近増えていて。決して映像をやりたくないというわけではなくて、たまたま舞台のお話があって、やる機会が多かったんです。なので今年以降は意識的に映像の仕事をたくさんしていきたいなと思っています。

ーー宮部実果役として強い存在感を放った映画『桐島、部活やめるってよ』も、公開から10年以上のときが過ぎました。当時を振り返って何か感じることは？

清水：あのときは右も左もわからない感じでした。本当にすごい熱量のある方々とお仕事ができたことをいまだに覚えていますが、「ああ、このモチベーションでいたらだめだな」と自分が思ったことも覚えています。みんな「上に這い上がるぞ、俺たちが次の映画世代を担っていくんだ！」というような熱い人たちが多かったので、自分が「ちょっと映画に出たいから」とかそんなモチベーションでやっていたらダメだなって奮い立たされました。『桐島、部活やめるってよ』は、自分にとってターニングポイント的な作品でもありましたね。

ーー今後は映像作品に力を入れていきたいということで、どんな作品や役柄に挑戦したいですか？

清水：なんだろう……。私、ドラマが好きなのでドラマに出たいんですよね。映画や舞台がやりたい役者さんって多いんですけど、私はドラマがやりたくて。わかりやすいものがやはり好きなので、連ドラとか、今回の『親友は悪女』のような作品は本当にやりたかったものだったので出演がすごく嬉しいんです。今後はドラマの出演機会も増えたらいいなと思っています。ラブコメ作品だったら、主人公の親友役とかやりたい！　お芝居で遊べるし、楽しいんですよね。

ーー最後に、2023年に挑戦したいことをお聞かせください。

清水：車の免許を取りたいです（笑）。あとは、毎年「今年は勝負の年だな」と思うわけですが、今年は特にそれを声に出して言っていいと感じるくらい、チャンスの年だと思っていて。これまではインタビューでも、たとえ自分の中で思っていたとしても「今年はチャンスの年にしたい」って言ってこなかったのですが、今年は絶対そうだと思うし、言霊の力も信じて、言っておきます！

■放送情報
『親友は悪女』
BSテレ東、BSテレ東4Kにて、毎週日曜23:30〜放送
NTTドコモひかりTVにて、1週間先行配信
「ネットもテレ東」（テレビ東京HP、TVer、GYAO!）にて、放送直後より配信
出演：清水くるみ、山谷花純、矢野聖人、石川瑠華、濱正悟、酒井大成、花山瑞貴、淵上泰史
原作：和田依子『親友は悪女』（DPNブックス）
監督：吉川鮎太、大内隆弘、井上雄介
脚本：本山久美子、岡庭ななみ
プロデューサー：小林教子（テレビ東京）、奥村麻美子（ホリプロ）
コンテンツプロデューサー：浅岡彩子（BSテレ東）、髙橋一馬（BSテレ東）、川島啓資（BSテレ東）、渡辺瑞希（BSテレ東）
企画協力：33コレクティブ
制作：BSテレ東／ホリプロ
製作・著作：「親友は悪女」製作委員会2023
©︎「親友は悪女」製作委員会 2023
公式サイト：https://www.bs-tvtokyo.co.jp/akujo_bs7ch/
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