『愛と、利と』ユ・ヨンソクがムン・ガヨンを抱きしめる 遊び心に溢れた絶妙な演出の数々

『愛と、利と』遊び心に溢れた絶妙な演出

「時間もチャンスも幸せも愛情も公平じゃないことは知ってたはずなのに違ってたわ」

 ヒロインがそう語る、階級差をリアルに描いたロマンス作品『愛と、利と』がNetflixで配信中だ。監督は『ブラームスは好きですか?』のチョ・ヨンミン、主演はいま韓国で最も旬な俳優のひとりとして数えられる、『賢い医師生活』『ミスター・サンシャイン』のユ・ヨンソクと、『女神降臨』『リンク:ふたりのシンパシー』のムン・ガヨン。

 本作は、イ・ヒョクジン原作の恋愛小説『愛の理解』をドラマ化した作品で、銀行で働く4人の男女の利害と複雑な恋愛模様を通じて、本当の愛を知る物語だ。舞台となるのは、KCU銀行ヨンポ支店で、ユ・ヨンソク演じる係長のハ・サンスと、ムン・ガヨン演じる窓口テーラーのアン・スヨンを中心に物語は展開していく。ここでは第1週、第2週に配信された第1話から第4話までを紹介したい。

 サンスのナレーションで始まる、「すべての顧客を同等に扱うわけではない」の言葉が示す通り、本作では“階級”に焦点が当てられている。サンスが教えてくれる銀行内での階級分けは、お金を借りに来た人は待たされ、お金を預ける人はエスコートされ、多額の預入をするVIPは支店長室へ直行し、さらにその上の階級であるVVIPは銀行に来ることもない、銀行員が家へ伺うという。

 銀行内で働くサンスたちもまた、階級分けから逃れることはできない。係長のサンスは、大卒だが母子家庭育ちであり、母親はマッサージの仕事をしている。窓口テーラーのスヨンは、田舎出身の高卒で、大衆食堂を営む両親を持つ契約社員、大卒で名家の娘であるパク・ミギョン代理(クム・セロク)は、サンスの母が働くマッサージ店の顧客であり、派遣社員の守衛チョン・ジョンヒョン(チョン・ガラム)には銀行の給料も派遣会社名で振り込まれる。正社員と契約社員の名札の紐は色分けされ、ジョンヒョンに至っては社員たちとは違う名札で一目で階級が分かるようになっている。

 階級の違いはありながら、スヨンは“女神”として他の支店でも噂になるほどの美貌の持ち主だ。サンスはそんなスヨンが仕事中も気になり、ミスをしてしまう。しかし、サンスのミスでスヨンとふたりきりで済州島に行くことになり、少しずつ距離が縮まっていく。デートに誘うサンスと答えるスヨン。スヨンのキャラクターは小悪魔のようなのだが、ムン・ガヨンが演じると妖艶さというよりもかわいらしさが勝り、健気ささえ感じさせるところがある。

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