『愛と、利と』ユ・ヨンソクがムン・ガヨンを抱きしめる 遊び心に溢れた絶妙な演出の数々

『愛と、利と』遊び心に溢れた絶妙な演出

 一方のサンスは、慎重で付き合うときにも結婚を考えてしまうような人間だ。それが原因でスヨンとのデートに躊躇してしまうのだが、それをスヨンに目撃されてしまい、ふたりの関係は険悪になってしまう。そんなスヨンのもとに、守衛のジョンヒョンもまた彼女に恋し、告白をする。ふたりの仲は銀行内で噂になり、気になって仕方がないサンス。そこに、サンスの大学時代の後輩である、ミギョンがヨンポ支店に異動してきて、サンスに恋をする展開に。

 ミギョンは仕事のできるスヨンを気に入り、ふたりは仲良くなるのだが、スヨンの手掛けた仕事がミギョンに振り分けられたことで、ふたりは気まずくなる。サンスとスヨンの恋が始まりそうなところから、拗れたふたりのもとに互いに恋のライバルが登場し、四角関係の様相に。スヨンとジョンヒョンの距離が近づいていく姿に焦るサンスは、スヨンをつい抱きしめてしまい……。というところで、第4話は終わった。

 サンスを演じているユ・ヨンソクは、恋に恋するような、スヨンのことが気になって仕方がない10代の少年のような姿と、石橋を叩いて叩きすぎて壊しかねない慎重さが混在した姿を、繊細で魅力的に演じている。スタイル抜群でスマートさと柔和さを持つイケメンであるユ・ヨンソクだが、本作では上司からのパワハラにおどおどする姿や、スヨンへのセクハラに憤りを見せる姿なども見せている。サンスが愛と利の中で、どんな選択をし、どんな成長を見せ、どんなユ・ヨンソクを見せてくれるのか楽しみだ。

 本作は、物語の展開だけでなく、OSTも魅力的なものが多く、さらにドラマファンを喜ばせる演出も多い。『賢い医師生活』の俳優たちがたくさん出演していたり、ムン・ガヨンを『女神降臨』での呼び名“女神”と呼んだり、キャラクター名がかぶっていたり、『ブラームスは好きですか?』の中で、主演のキム・ミンジェが演じた天才ピアニストのパク・ジュニョンの、“ピアノリサイタルのバス広告”があったりと、遊び心が満載だ。

 韓国ドラマが得意とする、ドラマファンを喜ばせる仕掛けは、制作陣からのニヤリとした挑戦状のよう。気づくか気づかないかの微妙な演出は、ドミノ倒しのように、次々と作品にひきつけてやまない理由の一つではないだろうか。制作陣のいたずらっ子のような顔が見えるような、今後の演出も楽しみなところだ。

■配信情報
『愛と、利と』(全16話)
Netflixにて配信中
演出:チョ・ヨンミン
脚本:イ・ソヒョン、イ・ヒョンジョン
出演:ユ・ヨンソク、ムン・ガヨン、クム・セロク、チョン・ガラム
(写真はJTBC公式サイトより)

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