『TOKYO MER』鈴木亮平の絶対的な安心感 長い助走期間が培った表現の源泉
最新設備を搭載したERカーで災害や事件・事故の現場に駆けつける。彼らのミッションは命を守ること。死者ゼロが目標だ。救命医療がテーマの『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(TBS系)で主人公の医師・喜多見幸太を演じるのが鈴木亮平である。
主演級の俳優として鈴木の存在は広く知られるが、10年前に現在の姿を予想した人は多くなかっただろう。現在39歳の鈴木は186センチの鍛え上げた肉体と爽やかな笑顔で老若男女から支持される好感度の高い俳優である。しかし、スポットライトを浴びるまでの歩みは決して平坦なものではなかった。
モデル業と並行して俳優活動をスタートした鈴木のドラマデビューは2006年7月期の『レガッタ〜君といた永遠〜』(テレビ朝日系)で、映画デビューは2007年『椿三十郎』と早かったが、そこからが長かった。脇役としてドラマ、映画、舞台に出演する中で、鈴木は徐々にチャンスをつかんでいく。2013年は鈴木にとって記念すべき年となった。映画『HK 変態仮面』で主役の色丞狂介を演じ、衝撃的なルックスで話題を集めると『彼岸島』(MBS/TBS)に白石隼也とのダブル主演で連続ドラマ初主演を飾った。
鈴木を一躍有名にしたのが2014年の上半期連続テレビ小説『花子とアン』(NHK総合)である。同作で鈴木が演じたのは主人公・花子(吉高由里子)の夫・村岡英治で、花子と道ならぬ恋に落ち、後にパートナーとして苦楽を共にした。奥ゆかしさの香る恋愛模様と誠実に花子を支える姿にときめいた視聴者も多く、全国区の人気を得た。そこからの飛躍はすさまじく、メインキャストとして多くの作品に名を連ねた。2018年に『西郷どん』(NHK総合)でついに大河ドラマの主演をつかむと、2021年4月期『レンアイ漫画家』(フジテレビ系)で民放連ドラ単独初主演。満を持してTBS「日曜劇場」の初主演作となったのが『TOKYO MER』である。