吉高由里子が今求められる理由 『星降る夜に』『光る君へ』など待機作ラッシュ

待機作ラッシュ、吉高由里子が求められる理由

 吉高由里子が主演を務め、2021年10月クールで人気を博したドラマ『最愛』(TBS系)が、2023年の年明けから一挙放送されている。吉高は2022年も特集ドラマ『風よ あらしよ』(NHK総合)、舞台『クランク・イン!』と精力的に活動し、2023年1月17日からは新たな主演ドラマ『星降る夜に』(テレビ朝日系)がスタート。さらに2024年は大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)の主演が控えているなど、まさに引っ張りだこだ。

『星降る夜に』©︎テレビ朝日

 なぜ、今これほど吉高の演技が求められているのか。そのヒントがドラマ『最愛』に詰まっている。『最愛』は、2006年の失踪事件ならびに15年後の殺人事件のキーを握る重要参考人となった実業家・梨央(吉高由里子)と、梨央の初恋の人でありながらその真相を追う刑事・大輝(松下洸平)、そして梨央の会社に所属する家族同然の弁護士・加瀬(井浦新)を中心に描かれるサスペンスラブストーリー。本作で吉高は、岐阜県白川郷で青春を謳歌する高校生から、世界に注目される敏腕若手社長まで15年の年月を演じた。

 まっすぐに夢を追いかけ、屈託のない笑顔で周囲から愛される少女の顔。思わぬ事件に巻き込まれた怯えと怒りに震える顔。会社と家族を守るために強く決意した大人の女性の顔……そのどの時代の顔も説得力がある。そんな表現力の豊かさが、まず吉高に寄せられる信頼のひとつだろう。

 またこのドラマで吉高が見せてくれた幅は、主人公の年齢だけではない。一つは、サスペンスドラマの主演という顔。芯の強さを感じさせる視線の中に、どこか物憂げで儚さも漂わせる。何を考えているのか読みきれない複雑な表情が、観る者の想像力を掻き立てる。

 そしてもう一つは、松下演じる大輝との間で魅せたラブストーリーのヒロインという顔だ。どんなに環境が変わったとしても、決してなくすことなどできなかった恋心。言葉にせずとも、その追いかける視線が、抱きしめられたときの指の動きが、細かな心情を伝えてくれる。家の中では社長の仮面を外し、心許した人にだけに見せる顔が出てくる。久しぶりに大輝とお酒を交わすシーンなどは、アドリブを感じさせるほど自然だった。

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