ウェブトゥーンに金脈あり? 『正しい恋の始めかた』『六本木クラス』日本で進む映像化

韓国発のウェブトゥーン、日本で映像化進む?

 韓国ではここ数年でウェブトゥーン(韓国発のデジタルコミック、以下、Web漫画)市場が著しい成長を遂げ、これに続きWeb漫画の映像化が急増している。地上波だけでなく、Netflix、Apple TV+、デイズニープラスなどの多様なグローバルOTTを通じて、2022年は20作以上のWeb漫画がドラマや映画化されたことにより、海外でも人気を集めているのだ。

 日本でも『六本木クラス』(テレビ朝日系)がヒット作となったのは記憶に新しい。2017年に同名のWeb漫画が日本の市場に参入し、2019年に映像化された『梨泰院クラス』の大ブレイクを受けてリメイク版が2022年に放送された。過去には社会人のバイブルと言われた『ミセン-未生-』が『HOPE~期待ゼロの新人~』(フジテレビ系)としてリメイクされている。

 Web漫画はスマートフォン端末で読まれることを前提として描かれている。紙媒体がメインの日本漫画と大きく違う点は縦スクロール漫画であること。ほとんどの作品がオールカラーで臨場感や迫力があるため、映像を見ているような感覚を楽しめるのが特徴だ。携帯からいつでも見られる手軽さから利用者が増え続け、韓国内1位のWeb漫画のプラットホーム「ウェブトゥーン」を展開するNAVERでは、2023年末までに月間利用者数(MAU)は1億人に達するとされている(※)

 Web漫画が韓国で初めて映像化されたのは2006年だが、全盛期の幕開けとなったのは冒頭にも挙げた『ミセン-未生-』で、2014年にドラマ化されると社会現象となり、数々の賞を総なめした。2016年には映画『神と共に』シリーズが観客動員数約2668万人の大ヒットを記録する。グローバルOTTでは『D.P. -脱走兵追跡官-』(原作は『D.P.犬の日』)や『地獄が呼んでいる』(原作は『地獄』)など次々と成功させており、原作への相乗効果もみられている。例えば『今、私たちの学校は…』が世界29か国で1位を獲得、グローバルTOP10(テレビ・非英語)でも1位にランクインした後、原作の週間観覧数が約80倍にも伸びた。

 他にも主人公ユミの頭の中にいる細胞たちが3Dアニメーションとして映像化された『ユミの細胞』は新感覚のドラマとして人気を博し、シーズン2まで放送され、シーズン3の制作を望む視聴者の声も多い。JTBCで放送された『財閥家の末息子』は最終回に26.9%の視聴率を叩き出し、シンドロームを起こした『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を超えて2022年の韓国ドラマで視聴率1位に躍り出た。また『だから俺はアンチと結婚した』や『その年、私たちは』などWeb漫画とドラマが同時に展開するケースもあり、Web漫画からドラマにつながることで世界観をさらに広げる効果をもたらしている。2023年に放送が予定されている作品には、アン・ボヒョン主演の『生まれ変わってもよろしく』、キム・ミンギュ主演の『聖なるアイドル』、ナム・ジュヒョク主演の『ビジランテ』などが控えている。

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