『カーテンコール』1人2役の演じ分けも見事 “愛され俳優”カン・ハヌルの出演作3選
余命宣告された女性のために、無名の役者が生き別れた彼女の孫を演じることとなるPrime Videoで配信中の『カーテンコール』。この舞台の観客は、全ての秘密を知る一人だけ。目の前の観客を喜ばせるために仕事を引き受けた役者と、女性が経営するホテルの売却を巡り対立する一家を映し出していく。本作で主演を務めるのがカン・ハヌルだ。あるときは、祖母に会いに来た北の訛りのある孫になり、またあるときは演技を愛し友人と酒を楽しむ等身大の男性の顔を見せる。まるでオン・オフのスイッチがあるかのように、瞬時に表情を切り替え1人2役を演じ分けるのがすごいところ。本記事では、そんな繊細な演技で視聴者の心を掴んで離さないカン・ハヌルの出演作をいくつか紹介したい。
『椿の花咲く頃』(2019年)
辛い過去により自分に自信が持てずにいる女性が、前向きで明るい警察官や近所の住人たちの優しさに触れ、他人との比較ではなく自分の幸せは自分で決めて生きていこうと奮闘する日々を描いた作品『椿の花咲く頃』。『サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~』の脚本家イム・サンチュン作家が贈る名作で、第56回百想芸術大賞ではテレビ部門大賞に輝いた。笑いあり、涙あり、サスペンスありで、作り手のメッセージが詰まったエンディングは癒しと勇気をくれる。
「俺に従え」というよりも「大丈夫」と手を握って、そっと隣の伴走してくれる警察官ファン・ヨンシクを演じるのが、カン・ハヌルだ。「あなたはあなたのままで素敵だ」と愛を叫び、悲しい時は自分以上に一緒に泣いてくれる。一度決めたことは何が何でもやり遂げる行動力を持ち合わせ、裏表のない温かい人柄は観ている人を幸せな気持ちで包み込んでくれる。バラエティ番組などで見せる彼の物腰の低さと誠実さがヨンシクと重なる部分も多く、彼だからこそここまで魅力的なキャラクターが完成したと思う。一度観るとやみつきになり、ヨンシクロスによって完走後も何度も名シーンをリピートしてしまうほど。
『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』(2016年)
『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』は、付き合っていた彼から借金を押し付けられ、人生に疲れ切った主人公が、不慮の事故によって高麗時代にタイムスリップしてしまう物語。時空を超えて辿り着いたのは、まさかの皇子たちがいる入浴場。混乱しながらも、その時代に生きる8人の皇子たちと日々を共にする姿を描いていく。一見ラブコメかと思いきや、涙なしでは観れないシーンが多く、気付いた時には作品の世界観にのめり込み過ぎて帰って来れなくなるほど。
カン・ハヌルは、面倒見が良く真っ直ぐな眼差しで視聴者をドキドキさせる第8皇子ワン・ウクを演じる。「仕方ないなぁ」と声が聞こえてきそうな柔らかい笑顔と、ふとした瞬間に見せる彼の影がどこか寂しそうで、光と影のギャップについ惹かれてしまう。甘さと心を締め付けられるような切なさ両方を堪能できるような一作で、結末は是非本編で見届けてほしい。