『カーテンコール』1人2役の演じ分けも見事 “愛され俳優”カン・ハヌルの出演作3選
『ミセン-未生-』(2014年)
誰にも頼ることができず一人で生きてきた元囲碁の棋士が会社員となり、厳しい現実に葛藤しながらも“共同作業”を通じて成長していく姿を描く『ミセン-未生-』。日々悩みを抱える新人と、重圧と戦いながらも新人の言葉に突き動かされていく上司の両方が描かれており、働く上で大事なことに気付かせてくれるような名作だ。
着実に前進する同期と比較して、取り残されたように感じ焦る新入社員チャン・ベッキを演じるのがカン・ハヌル。目の前の仕事を積み重ねることが、自身の成長に繋がるのか確信が持てず、焦りを隠せないでいる。そんな彼の繊細さや言葉にならない不安が、本作のリアルさを増していく。そして、チャン・グレ(イム・シワン)に心ない冷たい言葉を放ってしまう度に、自分自身を責めるような表情を見せるカン・ハヌルの演技が光る。
そんなベッキのターニングポイントとなるのが、グレと靴下を売るために街に繰り出す1シーン。感情が変化していく過程が細やかに表現されていて、カン・ハヌルの演技に引き込まれるのと同時にベッキを心から応援したくなる。
作品毎に全く違う顔を見せる、カメレオンのような実力派俳優カン・ハヌル。元気いっぱいな明るい役から冷静で知的な役まで、細やかな表情の変化や振る舞いで演じ分ける彼の演技の引き出しの多さに全力で拍手を贈りたくなる。また、プライベートな一面も魅力たっぷりなのが彼の沼深いポイントだと思う。授賞式で見せる深々としたお辞儀や、バラエティ番組『花より青春 アイスランド編』で「ヒョン!」と共演者に駆け寄りみんなから愛される姿は、誠実さと心の温かさを感じる。ドラマに映画に大忙しな彼の今後の活躍が、楽しみで仕方ない。
■配信情報
『カーテンコール』(全16話)
Prime Videoにて配信中
出演:カン・ハヌル、ハ・ジウォン、コ・ドゥシム、クォン・サンウ、ソン・ドンイル
演出:ユン・サンホ
脚本:チョ・ソンゴル
(写真はKBS公式サイトより)