『風都探偵』『黒の召喚士』『ヒロアカ』　内山昂輝の“クールさ”が刷新された2022年

『黒の召喚士』

　2022年7月より放送されたTVアニメ『黒の召喚士』にて、内山が演じたのは、記憶をなくし異世界に転生した主人公・ケルヴィン。本作は累計140万部以上（2022年12月時点）を記録する人気シリーズ『黒の召喚士』を原作とする、近年流行りの「なろう系」爽快バトルストーリーだ。

　振り返ってみると、本作の放送時期が7月だったこともあり、春アニメの『ヒロインたるもの！』とは全く異なるアプローチが思い起こされる。チート級の最強ステータスを持ったケルヴィンの戦闘狂っぷりは、バトルに対する気持ちの昂りが籠った内山の幅広い表現力を感じさせる演技であった。

『僕のヒーローアカデミア 第6期』

　少年ジャンプの中でも圧倒的な人気を誇る『僕のヒーローアカデミア』。2022年は第6期が放送され、内山演じるヴィラン連合のリーダー・死柄木弔の覚醒が話題を呼んだ。本作のメインヒーローがデクであることは言うまでもないが、ヴィラン連合ファンの筆者にとって第6期はたまらない展開がふんだんに盛り込まれていた。雄英サイドから見る物語と交錯するもう一つの物語に涙したファンも多いだろう。

　また死柄木の覚醒によって、デクと爆轟が窮地に追いやられるなど、雄英生にとってもかなり厳しい局面が続いた第6期。これまでの死柄木が纏っていたどこか気怠げな雰囲気が、ヒーローをピンチに追い込む完全な「ヴィラン」へと一変していく演技力に拍手を送りたい。

　2022年、10本ものアニメ作品のボイスキャストとして見事な演技を見せた内山だが、各々のキャラクターの特徴は違っても、不思議と立ち上る内山ならではのキャラクターの連帯感がそこに在る。1月放送開始のTVアニメ『氷属性男子とクールな同僚女子』はラブコメディということで、また新しい内山の一面に触れられるのではと、筆者は密かに期待を寄せている。この年末はもう一度5つのアニメを観た上で、ファン目線の「内山らしさ」について、改めて捉え直してみるのも面白いだろう。