『メイドインアビス』『リコリコ』『SLAM DUNK』 2022年は久野美咲がものすごかった

2022年は久野美咲がものすごかった!

 1年のアニメを振り返ったとき、「今年はこの声優さんがすごかったな〜」と思わせる人はいませんか? 筆者の場合、2020年は津田健次郎さん(名探偵・酒井戸、『群れなせ!シートン学園』各話♂(オス)動物など)、2021年は花澤香菜さん(アリエッティ、サリア(進化後)など)でした。そして2022年のアニメを振り返った際に思い浮かんだのは久野美咲さんのあの愛くるしい声でした。

久野美咲さんってどんな人?

 子役として舞台に出演していた1993年生まれの久野美咲さんは、2003年に声優デビューします。当時は外画の吹き替えで活躍していましたが、キャラクターソング「星くずこすぷれ☆うぃっち!です!・おめが」が最高だった『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のブリジット・エヴァンスなどの2010年作品を皮切りに、多くのアニメに出演を開始。『ひそねとまそたん』の女性主人公・甘粕ひそねのような例外もありますが、少し耳に入るだけでも「久野ちゃん!」と思わされる類まれなキュートボイスを活かして、おもにマスコット的なポジションのキャラクターを担当しています。

TVアニメ『ひそねとまそたん』【HD】

 一般に知られている代表作は『七つの大罪』のかわいい豚のホークや『3月のライオン』の3姉妹の三女・川本モモ(保育園児!)、そして2017年から続く子供向けアニメ『オトッペ』の主人公であるシーナ辺りでしょうか。アニメファンにまで射程を広げるなら『世界征服〜謀略のズヴィズダー』の星宮ケイトや『ハッピーシュガーライフ』の神戸しお、『えんどろ〜!』のマオ、『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズのエルフナインなどなど……現代の幼女キャラ声優の筆頭格と言っても過言ではありません。

“久野美咲無双”だった夏クール

 そんな久野さん、2022年前半は『かいじゅうステップ ワンダバダ』や『86-エイティシックス-』といった継続作品に加え、『その着せ替え人形は恋をする』や『インセクトランド』でも変わらぬかわいらしい声を聴かせてくれていました。『明日ちゃんのセーラー服』や『阿波連さんははかれない』の小学生キャラ(阿波連れんは男でしたが)、『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』のブラックトライク(なんとバイク!)辺りの印象が強かったでしょうか。

 そして彼女は7月からの夏クールアニメで特大のインパクトを残します。今年有数の話題作『リコリス・リコイル』で幼い見た目ながら実はかなりの年齢というユニークな設定のクルミをはじめ、『咲う アルスノトリア すんっ!』の主人公であるアルスノトリアや『サマータイムレンダ』後半のキーキャラクターとなったハイネ(彼女自体は前半から登場していましたが)、そして『メイドインアビス 烈日の黄金郷』のイルミューイとファプタとメインキャラクターを演じまくります。

TVアニメ『リコリス・リコイル』キャラクターPV:クルミ編

 なかでもイルミューイとファプタの悲痛な思いの表現は、彼女だけに限らず今年のあらゆるアニメの中でも出色の出来。本人も「精神的にも肉体的にも限界を越えなければ演じられない役」と振り返っていましたが、終盤は毎週心を痛めつつ観ていた、そして彼女への印象を変えさせられた視聴者も多かったでしょう(余談。夏クールは久野さんが演じるキャラクターが悲惨な目にあうエピソードが近い時期に妙に重なり過ぎて、それも彼女の印象を強くしていました)。

 ちなみに、6月にTwitterを開始していた久野さんはそれらのキャラクターの多くについてクールの終わりに丹念に触れ、並々ならぬ思いで収録に臨まれていたことを伺わせました。

 彼女はそうしたメインキャラクターのほかにも夏クールの『プリマドール』の千代として「アイスクリームの歌」を歌ったり、秋クールの『モブサイコ 100 III』の傑作回である第8話の宇宙人として妙な宇宙語(?)を喋ったり。1年を通じてその個性を発揮し、そして進化を見せてくれました。

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