『silent』考察したい6つのポイント イヤホンが示した物語の重要な分岐点

『silent』考察したい6つのポイント

入れ替わったCDの中身

 5つ目は、「入れ替わったCDの中身」だ。第10話の冒頭で、想が紬のCDを見ながら「ケースと中身が違う」と指摘するシーンがあった。想に指摘されて初めて気がついた紬は、「光が悪戯したかな」とごまかす。そんな紬を見て「高校生の時もこんなことがあった。青羽は変わらないよね」と告げる。

 なんともないシーンのように見えるが、SNS上ではCDの中身が変わったことを気にする想と気にしない紬の描写で、「耳が聞こえなくなったことを気にする想と、気にしない紬を表しているのでは」という意見があった。些細な描写だが、その後のすれ違いを考えると2人の考えの違いをよく表している場面だ。

踏切の前で別れる紬と想

 6つ目は「踏切」だ。映画やドラマなどで踏切は、人と人の断絶を描くために使われることが多い。しかし、『silent』での使われ方は少し異なる。


 第10話で紬と想が踏切の手前で別れる場面。紬は踏切前で踏切が開くのを待ち、想は踏切を離れて帰路につく。2人とも名残惜しそうに振り返るが、そのタイミングは合わずそのまま別れることになるというシーンがある。


 紬は踏切の前で立ち止まっているため、想が踏切まで戻れば2人は再会できる。踏切という絶対的に人と人を遮断する装置をあえて使わず、自主的に想が紬の元を離れようとしている描写にも読み取れる。


 このように、『silent』はひとつひとつの描写に、その意味を考えたくなるようなこだわり抜かれた演出が光る作品だ。丁寧に描かれた『silent』は何度も見返す度に新たな発見があり、その発見を人に伝えたくなるのも必然かもしれない。

■放送情報
木曜劇場『silent』
フジテレビにて、12月27日(火)〜31日(土)再放送(※関東ローカル)
第1話:12月27日(火)16:30~17:45
第2話~第4話:12月28日(水)14:45分~17:45
第5話~第6話:12月29日(木)16:00~17:45
第7話~第9話:12月30日(金)14:45~17:45
第10話~最終話:12月31日(土)12:00~14:15

出演:川口春奈、目黒蓮(Snow Man)、鈴鹿央士、桜田ひより、板垣李光人、夏帆、風間俊介、篠原涼子ほか
脚本:生方美久
演出:風間太樹
プロデュース:村瀬健
音楽:得田真裕
主題歌:Official髭男dism「Subtitle」(ポニーキャニオン)
制作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/silent/
公式Twitter:https://twitter.com/silent_fujitv
公式Instagram:https://www.instagram.com/silent_fujitv/

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