『silent』Official髭男dismの主題歌が生むドラマとの相乗効果 紬と想の美しい青春は永遠に

『silent』ドラマと主題歌の相乗効果

 “言葉”って、どうしてこんなに難しいのだろう。想っていることが、想っているとおりに伝わらない。気の利いたことを言おうとすると、本音じゃないみたいに思われそうで、怖くなる。

 『silent』(フジテレビ系)は、3カ月かけてゆっくりと、不条理と向き合う人々の葛藤を描いてきた。そして、愛おしい登場人物たちを見守ってきたのが、Official髭男dismが歌う主題歌「Subtitle」だ。

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 『silent』の世界線に「Subtitle」が存在していたら、紬(川口春奈)はきっと、大好きになっていただろうなと思う。歌詞カードを読んで、“私の気持ちじゃん”なんてうれしくなって、ちょっぴり切なくもなって。そんな感動を共有したくて、想(目黒蓮)にCDを渡していたかもしれない。ただまっすぐに紡がれた“言葉”を受け取った想は、何を想うのだろうか。

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 “音楽”は、あの頃を思い出すトリガーにもなる。私たちはきっと、「Subtitle」を耳にするたびに、『silent』に熱狂した美しい時間を思い出すはずだ。紬と想の気持ちが離れるたびに、<伝えたい伝わらない>というフレーズに胸が苦しくなったこと。2人だけでなく、湊斗(鈴鹿央士)や奈々(夏帆)、春尾(風間俊介)の気持ちが反映している歌詞を見つけては、涙を流したこと。そんな3カ月間を、私たちは絶対に思い出すと思う。

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 そして、本作でひとつのキーとなっているのが、“CD”の存在だ。今は、サブスクに入ればポチッと音楽をダウンロードできる便利な時代になった。簡単に音楽に触れられるようになったのはありがたいけれど、どこか侘しさもある。サブスク文化が発展していない頃に学生時代を過ごした筆者は、紬の弟・光(板垣李光人)の「検索したら、出るじゃん。歌詞」という言葉を聞いて、ちょっぴり切なくなった。

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