2022年の年間ベスト企画
加藤よしきの「2022年 年間ベスト映画TOP10」 たまには現実から目を背けて
5位は知っているようで知らなかったエルヴィス・プレスリーの伝記映画『エルヴィス』です。ドンドン豪華になっていくLIVEシーンと、過労で衰弱していくエルヴィスの対比は、シンプルながら胸に迫るものがありました。『ムーラン・ルージュ』(2001年)や『華麗なるギャツビー』(2013年)など、当代きってのギンギラな映画の名手バズ・ラーマンですが、本作は彼の最高傑作ではないでしょうか。
韓国映画の躍進が目覚ましい昨今ですが、香港映画の貫禄を見せつけたのが4位『バーニング・ダウン 爆発都市』です。『SHOCK WAVE 爆弾処理班』(2017年)の続編で、アンディ・ラウ演じる爆弾処理班の男が悪党の爆弾を解体しつつ、それでいて観客の期待通りにしっかり爆発はして、けれど悪は悪でちゃんと滅びる映画です。「前作でアンディは爆死したけど、どうなるんだろう?」という疑問を吹き飛ばすオープニングから、全編に渡って私が香港映画に求める全てがありました。『3』も待っています。
3位は日本でも記録的ヒットになったインド映画『RRR』。多くは説明しなくてOKでしょう。猛獣と爆炎と激流と肉弾が交差するアクションシーンはもちろん、「ナートゥはご存じかな?」から始まるダンスは圧巻でした。あれ、CGだと言われたら信じますよ。3時間の長尺ですが、だれることなく、むしろコレは必要な時間だったと納得できます。アカデミー賞待ったなし。
そんなインドの超大作を抑えての2位が、LDHが贈る青春クロスバトルアクション超大作『HiGH&LOW THE WORST X』。高校生同士のケンカの話ですが、中盤で市街戦が起きました。もうこの時点で勝利です。全員メチャクチャな改造制服を着ているのに、コスプレ感が皆無なのも本当に凄いと思いますね。アクションのクオリティとボリュームも含めて、これは世界に届いてほしいですね。いい意味で日本が誤解されてほしいです。
そして1位は『トップガン マーヴェリック』。いやね、こんなに凄いとは思わないじゃないですか。アニメ/実写を問わず、全映画の飛行シーンのハードルが1つ上がるのを感じました。観ている最中の没入感、自分が戦闘機に乗っているような感覚は、唯一無二です。何度も鳥肌が立ち、ずっと前のめり。特に第5世代戦闘機がグォーンと後ろに吹っ飛んでいくところは今年最大の「おお!?」ポイントでした。
そんなわけで2022年のベスト10でした。コロナ禍や物価上昇などなど、ロクなことない昨今だからこそ、たまに現実から目を背けないと死んでしまいます。『トップガン マーヴェリック』で前傾姿勢になっているとき、私の心は世知辛い日常を離れ、完全にコクピットにありました。ああいう体験ができるから、やっぱり……いやぁ、映画って本当にイイものですね。
■公開情報
『トップガン マーヴェリック』
全国公開中
監督:ジョセフ・コシンスキー
脚本:クリストファー・マッカリーほか
製作:ジェリー・ブラッカイマー、トム・クルーズ、クリストファー・マッカリー、デヴィッド・エリソン
出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、ヴァル・キルマーほか
配給:東和ピクチャーズ
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