2022年の年間ベスト企画
加藤よしきの「2022年 年間ベスト映画TOP10」 たまには現実から目を背けて
リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2021年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに分け、映画の場合は、2022年に日本で公開された(Netflixオリジナルなど配信映画含む)洋邦の作品から、執筆者が独自の観点で10作品をセレクトする。第6回の選者は、映画ライターの加藤よしき。(編集部)
1.『トップガン マーヴェリック』
2.『HiGH&LOW THE WORST X』
3.『RRR』
4.『バーニング・ダウン 爆発都市』
5.『エルヴィス』
6.『ザ・ロストシティ』
7.『奈落のマイホーム』
8.『犯罪都市 THE ROUNDUP』
9.『THE FIRST SLAM DUNK』
10.『カーター』(Netflix配信)
今年も1年、お疲れ様でした。2022年はあまり映画を観ることができず、振り返ってみると「あれも見逃した!」の連続です。来年は映画をたくさん観たい今日この頃ですが、今回はその少ない中からベスト10をあげたいと思います。
まず、ある意味で1位より重要な10位です。私はこの10位映画を選ぶのが楽しみでなりません。「面白い・面白くない」「他人にススメられるか?」といったことは関係なく、「2022年、私はこの1本を忘れない」それが私にとっての10位映画です。今回その名誉に輝いたのは、韓国のNetflix作品『カーター』です。おめでとうございます。ゾンビ、ヤクザ、特殊部隊、殺し屋、スパイがそこらを闊歩する近未来を舞台に、全編ワンカットでひたすらアクションを続ける努力と狂気の結晶映画。粗はあれど、本作のド根性は忘れません。死ぬまで時々『カーター』を思い出して「そんな映画もあったよね」と感嘆することでしょう。
続いて9位は『THE FIRST SLAM DUNK』。これはもう世代の問題です。私は熱心なファンではありませんし、予告のときに「ゴリの目が死んでない?」「客が絵すぎない?」と不安で、観ている最中も話のブツ切り感が気になりました。それでも「おおっ、あの絵が動いている」という素直な感動と、一切の説明なしに、あそこから物語を始める蛮勇を評価したいです。この方式で色んなマンガの新作が観たいです。
8位の『犯罪都市 THE ROUNDUP』は韓国が誇るアクション俳優マ・ドンソクが、ひたすら人を殴って事件を解決する映画です。これほどシンプルで魅力的で、お手本のようなアクション映画でした。『ミナミの帝王』ばりに量産できる気配を感じたので、このまま無限に作ってほしいです。
7位も同じく韓国映画。『奈落のマイホーム』は、念願のマイホームが地盤沈下で沈んでしまうパニック映画です。監督のキム・ジフンさんは「韓国を舞台にハリウッド的なエンターテインメントをやりたい」という、分かりやすくて難しいことに挑戦してきた人物。これまでは「やりたいこと」と「韓国映画の枠組み」で噛み合っていない部分があったのですが、今回は上手くいっていたと思います。映画が終わる頃には「おめでとう、遂に掴んだね」と心が温かくなりました。私も負けてはいられません。
6位はサンドラ・ブロックの姉御が、チャニング・テイタムに胸を貸してやった1本です。やはりコメディでのサンドラの姉御は別格ですね。笑えるところはちゃんと笑えて、しかも創作賛歌になのも良いですね。創作活動をしている人にとって、本作は泣ける映画として刺さると思います。何から始めてよいか悩んでいるアナタ、あるいは「そもそも面白いって何だっけ?」とスランプ中のアナタ、この作品はオススメです。ただし字幕で観てください。吹き替えは……この令和の時代に、そういうのは良くないと思います。